■IoTの短期戦略(GW利用)の問題点
製造業におけるIoTの広め方や売り物をSIerは間違えている
http://blog.goo.ne.jp/xmldtp/e/63930806a7d60e600ef9c924fb8bf85f
で書いたように、IoTの短期的戦略は、
・現状のシステム(製造業のフィールドバス)にGWを入れてインターネットへ
・GWからクラウドや社内サーバー等に持っていき
・クラウド・サーバーで他のデータ、過去データと合わせて(ビッグ)データ解析・機械学習する
というものであった。しかし、この短期的戦略は、長くは続かない。
続かない問題点があるのだ・・・
【GW経由の問題点】
・スケールしない
フィールドバスにRS485を使ってしまうと、規約により32台までしかつながらない
いや、もっとつなげられる(120台とか)事例もあるけど、それでもそこまで。
そもそも、RS485では、複数台接続する場合、IDを指定して通信する。
ということは、IDに1バイトしか割り当てていない場合、どんなことをやっても256台まで
それ以上だと、機械側のマイコンのプログラム書き換え・・・って、無理っす(^^;)
つまり、RS485を使う場合、台数をある程度増やそうとすると、
追加のネットワークを作らない限り無理!
これでは、センサーを10個、20個新規に導入して・・・というのは難しい・・・
つまり、一言で言うと、スケールしないのだ。だから、規模拡張や、IoTによるセンサー増強をしにくい。
・GWに全体が左右される
RS485は、ネットワーク内をIDを指定して通信すると、今書いた。
ということは、ネットワークが異なれば、同じIDが存在するということだ。
たとえば、10台の大きな製造装置があったとする。
各製造装置には、5個のサーボモータが繋がっていて、これがRS485で通信して制御しているとする
そして、各製造装置ごとに、ネットワークが作られているとする。
この場合、各製造装置ごとにGWを置き、GWが社内サーバーにTCP/IPで接続するという
ストーリーを「今なら」つくりやすい。
この場合、すべての製造装置は(10台とも同じ機能、部品なので)ネットワーク内の同じ部品については
同じIDを使い、そして同じ通信プロトコルである可能性が高い。
1番目の機械も、2番目も、10番目も、どれもベルトコンベアーのモーターはID=1のように・・
そのとき、GWごとに区別しないと、どこの機械のどの部品の値だか、区別つかなくなる。
さっきの例だと、RS485のパケットをそのままTCP/IPに流してしまうと、ID=1という
ことで「ベルトコンベアーのデータ」ということはわかるが、1番目の機械のベルトコンベアーか、
2台目のものか、区別つかなくなる。
これを避けるためGWごとにIDを振りなおす(機械1のID1→101、機械2のID=1→201)
そうすると、「GWが稼働していないと、データは転送されない。GWの性能に左右される」
たとえば、Raspberry PiでGWをつくると、SDカードにログ書きまくり、スワップし放題になるので、
壊れやすい。欠測であすい
さらに。GWで失われる情報がある。たとえば、機械1のベルトコンベアーだけ、部品交換したとする
調子が良くなり、数値向上したとする。しかし、部品は変わっているのに、機械1のID=1(101)
と、送られてくるIDは、交換前と変わらないので、サーバー・クラウドは、交換したかどうか区別
できず、データ分析に狂いが出る。
■IoTの中長期戦略
そこで、中長期的には、部品1つ1つから直接通信できるように、いまのRS485をインターネットに
変える必要がある(※)。
※本当は、かならずしもそうではない。GWの大きな問題、スケールしないを解決すれば、
インターネットでなくてもいい。けど、そこは、「今は、SIerさんは」あまり考えてない。
ということは、「部品の中に入っている組み込みチップ」から、「直接インターネット接続して」
サーバー、クラウドにデータを送るという戦略をとることになる。
さあ、「部品の中に入っている組み込みチップ」の大手メーカーは?
Intel・・・じゃないですよね。あれは、パソコンであって、組み込みではない
ARM,マイクロチップ・テクノロジー(PIC,AVR)・・ですよね。
そして、「直接インターネット接続して」を実現しようとしているのが
mbed os
ということで、IoTの中長期戦略的には、ARMチップを使って、ネット直接通信になっていくだろう(※)・・
※くどいけど、とSIerは思いたい。どんでん返しがある。
・・ソフトバンクのARM買収はそこを狙っているんだろうし、
まさに、今後はそちらを目指すべきだろう…スケールするために
■ではなぜ、直接インターネット接続を「今しないのか?」
いや、IoTって、まさに、「直接インターネット接続するのは、今でしょ!」ていう
コンセプトだ。これが、受け入れられない・・理由がある。
【直接インターネット接続の問題点】
・投資の問題
もちろん、これが大きい。今、何も困っていないのに、インターネットにして、
なんで、お金払わないといけないの?というお話。投資効果あるの?というお話
いや、中国景気が良くて、今後増産のめどが立っているのなら、そういうお話も
ありだったけどねえ~
・インターネットの技術的な問題
TCP/IPで保証されるのは、同じポートであれば、順番が保証されるかもしれないけど、
まったく別のマシン、ポート間での順番は、ネットワーク帯域の問題などで、必ずしも
保証されない。しかし、順番を保証してもらわないと、機械の制御は順番大事なわけで、
困るんですけど・・・
後者の問題は、プロトコルの改良(Ethernet AVB,EtherCAT,PROFINETなど)で変わりつつあるけど・・
(その件についてはこちらを参照)
それらの状況がおちつくまでは、短期的にはGWを入れるという戦略が現実的。
なお、全部の環境が落ち着くまで待って・・・というのは、危険。
というのは、IoTはデータ分析に価値がある。データ分析には過去データ必須。
したがって、今からデータをためておかないと、状況がそろった時から、
データをため始めるのでは遅い。
このへんが、今のところのストーリーですかねえ・・・
え~っと、またくどいけど、というのがSIerさんからの望み。
じつは、こうならないかもしれない・・・ならないだろうなあ・・・
というのを、また、別の時に書く。
製造業におけるIoTの広め方や売り物をSIerは間違えている
http://blog.goo.ne.jp/xmldtp/e/63930806a7d60e600ef9c924fb8bf85f
で書いたように、IoTの短期的戦略は、
・現状のシステム(製造業のフィールドバス)にGWを入れてインターネットへ
・GWからクラウドや社内サーバー等に持っていき
・クラウド・サーバーで他のデータ、過去データと合わせて(ビッグ)データ解析・機械学習する
というものであった。しかし、この短期的戦略は、長くは続かない。
続かない問題点があるのだ・・・
【GW経由の問題点】
・スケールしない
フィールドバスにRS485を使ってしまうと、規約により32台までしかつながらない
いや、もっとつなげられる(120台とか)事例もあるけど、それでもそこまで。
そもそも、RS485では、複数台接続する場合、IDを指定して通信する。
ということは、IDに1バイトしか割り当てていない場合、どんなことをやっても256台まで
それ以上だと、機械側のマイコンのプログラム書き換え・・・って、無理っす(^^;)
つまり、RS485を使う場合、台数をある程度増やそうとすると、
追加のネットワークを作らない限り無理!
これでは、センサーを10個、20個新規に導入して・・・というのは難しい・・・
つまり、一言で言うと、スケールしないのだ。だから、規模拡張や、IoTによるセンサー増強をしにくい。
・GWに全体が左右される
RS485は、ネットワーク内をIDを指定して通信すると、今書いた。
ということは、ネットワークが異なれば、同じIDが存在するということだ。
たとえば、10台の大きな製造装置があったとする。
各製造装置には、5個のサーボモータが繋がっていて、これがRS485で通信して制御しているとする
そして、各製造装置ごとに、ネットワークが作られているとする。
この場合、各製造装置ごとにGWを置き、GWが社内サーバーにTCP/IPで接続するという
ストーリーを「今なら」つくりやすい。
この場合、すべての製造装置は(10台とも同じ機能、部品なので)ネットワーク内の同じ部品については
同じIDを使い、そして同じ通信プロトコルである可能性が高い。
1番目の機械も、2番目も、10番目も、どれもベルトコンベアーのモーターはID=1のように・・
そのとき、GWごとに区別しないと、どこの機械のどの部品の値だか、区別つかなくなる。
さっきの例だと、RS485のパケットをそのままTCP/IPに流してしまうと、ID=1という
ことで「ベルトコンベアーのデータ」ということはわかるが、1番目の機械のベルトコンベアーか、
2台目のものか、区別つかなくなる。
これを避けるためGWごとにIDを振りなおす(機械1のID1→101、機械2のID=1→201)
そうすると、「GWが稼働していないと、データは転送されない。GWの性能に左右される」
たとえば、Raspberry PiでGWをつくると、SDカードにログ書きまくり、スワップし放題になるので、
壊れやすい。欠測であすい
さらに。GWで失われる情報がある。たとえば、機械1のベルトコンベアーだけ、部品交換したとする
調子が良くなり、数値向上したとする。しかし、部品は変わっているのに、機械1のID=1(101)
と、送られてくるIDは、交換前と変わらないので、サーバー・クラウドは、交換したかどうか区別
できず、データ分析に狂いが出る。
■IoTの中長期戦略
そこで、中長期的には、部品1つ1つから直接通信できるように、いまのRS485をインターネットに
変える必要がある(※)。
※本当は、かならずしもそうではない。GWの大きな問題、スケールしないを解決すれば、
インターネットでなくてもいい。けど、そこは、「今は、SIerさんは」あまり考えてない。
ということは、「部品の中に入っている組み込みチップ」から、「直接インターネット接続して」
サーバー、クラウドにデータを送るという戦略をとることになる。
さあ、「部品の中に入っている組み込みチップ」の大手メーカーは?
Intel・・・じゃないですよね。あれは、パソコンであって、組み込みではない
ARM,マイクロチップ・テクノロジー(PIC,AVR)・・ですよね。
そして、「直接インターネット接続して」を実現しようとしているのが
mbed os
ということで、IoTの中長期戦略的には、ARMチップを使って、ネット直接通信になっていくだろう(※)・・
※くどいけど、とSIerは思いたい。どんでん返しがある。
・・ソフトバンクのARM買収はそこを狙っているんだろうし、
まさに、今後はそちらを目指すべきだろう…スケールするために
■ではなぜ、直接インターネット接続を「今しないのか?」
いや、IoTって、まさに、「直接インターネット接続するのは、今でしょ!」ていう
コンセプトだ。これが、受け入れられない・・理由がある。
【直接インターネット接続の問題点】
・投資の問題
もちろん、これが大きい。今、何も困っていないのに、インターネットにして、
なんで、お金払わないといけないの?というお話。投資効果あるの?というお話
いや、中国景気が良くて、今後増産のめどが立っているのなら、そういうお話も
ありだったけどねえ~
・インターネットの技術的な問題
TCP/IPで保証されるのは、同じポートであれば、順番が保証されるかもしれないけど、
まったく別のマシン、ポート間での順番は、ネットワーク帯域の問題などで、必ずしも
保証されない。しかし、順番を保証してもらわないと、機械の制御は順番大事なわけで、
困るんですけど・・・
後者の問題は、プロトコルの改良(Ethernet AVB,EtherCAT,PROFINETなど)で変わりつつあるけど・・
(その件についてはこちらを参照)
それらの状況がおちつくまでは、短期的にはGWを入れるという戦略が現実的。
なお、全部の環境が落ち着くまで待って・・・というのは、危険。
というのは、IoTはデータ分析に価値がある。データ分析には過去データ必須。
したがって、今からデータをためておかないと、状況がそろった時から、
データをため始めるのでは遅い。
このへんが、今のところのストーリーですかねえ・・・
え~っと、またくどいけど、というのがSIerさんからの望み。
じつは、こうならないかもしれない・・・ならないだろうなあ・・・
というのを、また、別の時に書く。