がじゅまるの樹の下で。

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世持神社

2018年12月30日 | ・琉球歴史/文化風景

沖縄神社に続いてもう一つ、

ちょっと特異な、
沖縄らしい神社をご紹介。

 

 

奥武山公園内にあります、

世持神社です。

 

「世持」とは

おもろで使われている古語で
「豊年」を意味するもの。

 

 

そして、

世持神社に祀られているのが

沖縄の産業の恩人とされている

 

野国総官

儀間真常

そして

蔡温

 

この神社の意味合いが
めっちゃ分かるラインナップ!

 

おもろからの古語を神社名にしているあたりも
沖縄神社よりも、沖縄らしい神社な気がします。 

 

昭和12年に創建された神社。


昭和初期、
内務省に世持神社建立計画を陳情した時の回答がこちら。

 

正三位以上にあらざる人臣を祭神とする寺社は
本来は不許可である。
が、沖縄県の実情を斟酌し、郷社として許可する。

 

 

 

政治的な意味合いが濃かった沖縄神社とは違い、
一般人からの要求により創立された神社として
特に農業関係者から篤い信仰を集めたといいます。

 

 

が、例にもれず沖縄戦で焼失。
(御神体は戦時中は熊本に移されていたようです)

 

世持神社のあった今の奥武山公園エリアは
米軍占領地となったことから
早期の再建が不可能に。

 


戦後、戻された御神体は
上間朝久氏が那覇市内の自宅で祀り祭祀を行っていましたが、
同氏の死去により、波上宮の宮司が世持神社の宮司を引き継ぎました。

これにより、波上宮境内に祠(仮宮)がたてら
現在、御神体はここに祀られています。

 

 

波上宮拝殿のすぐ手前左側にある、
緑色の屋根の小さな祠がそれ。

 

一つが世持神社で、
もう一つが似たような経緯を持つ浮島神社です。

(浮島神社についてはまた別で)

 

 

 

 

で、奥武山公園内にあるここは、

世持神社の元の場所。

今はすぐ近くにある沖宮(おきのぐう)によって
聖域管理がされているのだとか。

 

ここで年に一度、
波上宮(なみのうえぐう)に祀っている御神体をここに戻し、
波上宮の宮司によって祭祀が行われているとのこと。

 

ちょいと複雑ですが、

●御神体のある本殿(仮宮)は波上宮の小さな祠、

●鳥居、参道、社殿は、奥武山公園内、

ということになります。

 

で、現在の管理は、
沖宮(聖域)と、波上宮(御神体)
というわけです。

 

 

参/『沖縄の神社』(加治順人著)

 

 

そういえば、
「産業まつり」もここ(奥武山公園)で行われているし、

産業にまつわる人は
この神社で初詣するのが吉かも?

(奥武山と、波上宮の世持神社でね★)

 

 

 

社殿左側にあった社。

 

 

右側にあった香炉。


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