がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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グスクの神社化

2018年12月28日 | ・琉球史散策/神話・近代

年始といえば、初詣。

 

初詣と言えば、神社。
(場合によってはお寺)

 

神社と言えば、

鳥居

ですね。

 

グスクをめぐっていて
鳥居のある
グスクに遭遇したことはありませんか?

例えば、

他魯毎の南山グスク

越来グスク

伊祖グスク

名護グスク

などなど。

 

これらの鳥居付きグスクは
ちょいちょい見かけるので
特別に珍しい光景ではありません。

 

なぜ、グスクに鳥居が設置されるように
なったのでしょうか。

 

今帰仁グスクの資料館の前に
こんな文化財があります。

 

 

今帰仁グスクの前に、
かつてあった鳥居の脚です。

 

 

" 戦前、
沖縄各地のグスクが
皇民化教育の一環として
御嶽やグスクが神社と同一化され
鳥居が建立された歴史がある"

 

元々の沖縄の信仰の対象が
日本式にされた、ということ。

 

よって、グスクによっては
その痕跡としての鳥居が、
今もそのまま残っている、
ということですね。

 

これも、沖縄の歴史の1ページ。

 

 

この今帰仁グスクの鳥居は
昭和5年に建立されたもの。

 

鳥居は2003年に撤去されました。
(意外と最近!)

 

 

参/『今帰仁村の文化財』(今帰仁村教育委員会)

 

 

さて、グスクの神社化…ということは……

 

あの、沖縄を代表する超有名なグスクも、
かつては「神社化」されていたのでしょうか…!?

 

 

つづく


現代版組踊島シリーズ2018 結-MUSUBI-

2018年12月28日 | ・現代版組踊レポ

 現代版組踊舞台レビューについて

 

島口ミュージカル 結-MUSUBI-

2018年12月24日(月)

きむたかホール

 

 

島シリーズ2つめの公演は、
鹿児島・徳之島のチーム
結シアター手舞による「結-MUSUBI-」。

 

夜公演を観劇しました。

 

幕末の偉人、西郷隆盛が
奄美大島、そして徳之島に島流しになった頃が舞台で、
奄美で娶った妻・愛加那や
徳之島で出会った青年・琉仲祐との交流を描いた物語。

 

以前、アトラクションは見たことがあったのですが
公演を観るのは今回が初めてでした。

 

まず、チームの第一印象は
思っていたよりも人数が多いこと。

中でも男子が多くて
しかもみんな体格がいい!

男子みんな高3なの?
っていうくらい背も高くてがっしりしてて。

男女比、半々とは言わないけど、
4割くらいはいるんじゃないかな?

沖縄ではどこも男子メンバー獲得に苦労しているというのに…

なんと頼もしい。

 

もちろん女子も負けてなくて、
ハキハキとしっかりした印象。

 

チーム全体の
一斉発声や斉唱、総演舞などは
ピリッとした緊張感と力強さがあって
とても一体感を感じました。

 

幕開けやクライマックスの演舞
テーマソングでの演舞などは
さすが、表情なども含めて
ビシッと決まっててかっこよかったです

(♪ワイド―×4 の「手舞の空」かっこいいよねー。
CD販売なかったの残念でしたー

 

 

とはいえ、
このようなフル楽器のメインソング以外は
やはり奄美群島の島唄メインで。

奄美三線、太鼓、そしてあの奄美地方独特な歌唱法。

沖縄の三線、島唄とは全然違う
素朴で、どこか哀愁のある音色と雰囲気。

西郷さんと月照が船で行くシーンでは
それが特にマッチしててぐっときました。

前半はこのような構成の楽曲が多く
派手に、華やかというよりも
幕開け以外は全体的に素朴な印象でした。

これはこれで味わいがあって、
沖縄や他地域の現代版組踊とは
結構違った印象を持ちました。

音が作る印象って、大きいです。
(特に私は昔からテレビでも映画でも、
音楽が作品全体の評価に占める比重が大きいのです)


演奏は手舞の生バンド!(もちろん歌も!)
やはりバンドチームがあるのはいいですね

安定感抜群で安心して聞けました。


中休みを挟んでの後半からは
島唄楽曲だけでなくアレンジのきいた楽曲も。

西郷さんが沖永良部に再遠島になった時の
愛加那との別れの曲とかは、
THE・現代版組踊って感じ☆

(このシーンは背後に少しアンサンブルさんがいてもよさそう♡)

 

ラストのダイナミック琉球も
奄美歌唱で「おお!これぞ!」ってなりました。

バンドだけじゃなくて
舞台中央(奥)で愛加奈役の子が唄ってて、
神々しかったですね。

発声だけでその土地らしさを表現できるなんて、
なんという武器。

すんばらしい

 

 

劇中所々に出てくる「島口」も興味深かったです。

沖縄と似たもの、全然違うもの。

奄美ともまたちょっと違う印象?

「あぎじゃびよ!」

は、まさかの共通なのか?(笑)

(おばあ、いい味♪
おじいおばあキャラはどの舞台でもなぜか外れがないな…)

 

 

獅子舞の牛版、闘牛シーンも面白かったし、
きっと徳之島の伝統芸能であろう踊りの数々も
初めて観るもので興味深かったです。
(棒のやつ、ちょっとやってみたい☆)

 

ところで、冒頭で語り部として出てきた「ゆい」は
結局何者だったのでしょう…。

いつの間にかいなくなっていましたが…。

びしっとジャケットを着た「デキる女風」だったので
アカハチみたいに、現代のジャーナリスト?
と思ったのですが…。

謎。

ストーリーテーラーも
ゆい→ケンムン→仲為と次々と変わってましたね。

統一してもよさそうな…。
(肝高の阿麻和利みたくケンムンに、とか…?)

 

 

 

 

 

 

ここからは
子どもたちの演技云々ではなく
物語(ストーリー)展開として思ったこと。

 

個人的に、
徳之島の舞台ということもあって
島の青年・仲祐が主人公格なのかなと思ってましたが、
8:2くらいの"印象"で西郷さんが主人公でした。

個人的には仲祐の活躍というか物語も
もっと見たかった(知りたかった)かも。


物語の人物たち、
「人物ドラマ」としては
自体は結構淡々と(飄々と)、
あまり緩急なく進んでいった印象があります。

なので、ストーリーの展開としては
西郷さんに惚れた!とか
仲祐にしびれた!とか
そういう刺激はあまりなくて。

 

琉球史の現代版組踊みたいに
明確な対立があって、
派手な戦やクーデター、
騙し騙され、
殺されて……

という壮絶なドラマが無いから、
というのは確かにあるかもしれない。

(「鬼鷲」における尚巴志の立ち位置なんかもそれにあたりますね)

 

でも、
例えば西郷さんを主にするなら
西郷さんの苦悩や絶望、葛藤がもっとあれば…。
(大河ドラマ「西郷どん」の西郷さんが、
奄美に来てとことん荒れて腐ってたように)

自殺に追い込まれるほど絶望して荒れてる西郷さんや
家族が引き離されることの怒りや葛藤とか、
それこそ、
沖永良部での牢獄で悲惨な状況の西郷さんの姿とか

そういう彼の色んな負の感情や状況が渦巻くシーンがあれば、
もっと人間味(深み)がでるはず。

そしたら愛加那や仲祐、島の自然や人々との触れ合いの中で
西郷さんが再び使命(志)を見出すとか、
生き返るとか、
負けないとか、
人を愛するとか、
なにかしらのドラマ性がもっと出ると思う。

ひたすら落として、闇をみせるからこそ
光が際立つ…というイメージかなぁ。

 

仲祐だったら、
西郷に出会う前に持っていた島に対する不満や絶望、
出会ってからの彼の変化ぶりを、
徳之島での彼の努力や奮闘、
島の人々との関係の変化、
島の良さを知り活かす(これこそ現代版組踊のベースとなるスピリット!)活躍、
新たに抱いた志など、
マイナスからプラスへ、
それこそ生まれ変わったかのように
もっともっと表に出してもよさそう。
(力石のシーンなどでちょっとはあったけれども)

そしたらその後の、彼の志半ばの死も
もう少しドラマチックになるのでは?と思ったり。

 

(そういえば、西郷さんが何か書いて仲祐に渡した書、
あれで決定的に改心したっぽかったけど
内容が文語体?だったので一回聞いた(見た)だけでは
意味が分からなかったのが残念。)

 

「人間のドラマ」

 

西郷さんや仲祐という、
私たちとなんら変わらない、同じ人間の、
弱さや強さ、変化、志、
つまり生きざまが
もっと物語の中で描かれれば、


島外の人や
西郷さんや仲祐を知らなった人たちにも、
彼らに対する愛着や尊敬、興味や関心が
もっとぐっと深まるんじゃないかな?

 

…と個人的には思いました。

 

ので、一応記録。

 

 

 

 

ともあれ、

初めての「結ーMUSUBI-」公演、
楽しませてもらいました!

来てくれてどうもありがとうございました!

 

"おぼらだれん"

 

徳之島…行ったことないなぁ…。

いつか行ってみたいです。

与論島も、沖永良部島も。

 

現代版組踊島シリーズ2018
ガサシワカチャラ+結ーMUSUBI-
これにて終演。

各メンバーさん、保護者、スタッフ、関係者のみなさん
お疲れ様でした!

そしてありがとうございました。

 

…で!

 

「2018」と銘打つからには
「2019」期待してもいいですか!?

 

オヤケアカハチ!
カモーーーン!!щ(゚Д゚щ)!!

くっそ、やっぱり今年、石垣行けばよかったかなぁ…。

そういえば伊平屋チームは今どんななってるのかなー?
"琉球歴女"ちゃんは健在かしら。

 

 

さて、年が明け早々には
「百十-MOMOTO-」公演も!

今回は百十踏揚は3キャスト(!)、
ヒーロー大城賢雄は、
結シアター手舞のOBが演じます!

楽しみです