下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

ネタバレ 裏・『びっくり館の殺人』

2007-05-11 23:59:59 | 
これは、筆者が勝手に妄想した綾辻行人氏の『びっくり館の殺人』の深読み記事です。
ばっちりネタバレしていますので、未読の方は決して読まないで下さいね。


「びっくり館」は中村青司の20代半ば、建築家としての初期に作られた館です。
当時は、この館にも独特の磁場は存在しなかったと考えられます。
ところが、ある時期にこの館はその邪悪を増幅していきます。
梨里香は悪魔の子であるという母。そして俊生自身も姉の不気味な面を知る・・・
それはいつ頃だったのでしょうか?
1985年に青屋敷で青司が死んだとされた頃、梨里香は6歳。
おそらくその頃から梨里香は悪魔性を増していったのではないでしょうか。
そう、中村青司の「惑い」によって。うん、ありえる話です。

人を操り、全てを意のままに動かす力・・・ある意味最強の邪悪な存在ですよね。
その力を突き詰めていき、ある事実を当てはめてみるともっと怖いんです。
覚えているでしょうか。誕生プレゼントに秘密箱をもらった三知也。
そのとき羨ましがったあおいに、俊生は必ず覚えていて別のものをあげると言います。
あおいの誕生日は1月17日。
約束の日は事件のあった1994年の翌年だから・・・1995年1月17日。
そう、その朝に阪神淡路大震災が起こったのです。
あおいの誕生日をわざわざその日に設定した綾辻氏がにおわせたかったもの・・・
あの惨事すら「梨里香」のもたらしたものであるという可能性!?
三知也の考えるように、もし警察が事件の見方を変えたとすれば、
最初に大人である新名が疑われ、さらにあおいも責められたはず。
新名に死を、そしてあおいに平穏を・・・なんて考えると、とても怖いわけです。

最後の見舞いで「いつかきっと遊びにくる」と言った三知也。邪悪な微笑を返した俊生。
そして十年半。何かに誘われるように三知也は古書店に入り、『迷路館の殺人』を見つけ、
翌朝せき立てられるように「A**市」に向かう・・・梨里香の誕生日6月6日に。
これは決して偶然なんかじゃない。三知也は操られたのですよね。

それだけでなく。
兄の死によって法というものに懐疑心を抱く三知也。
幼い頃の経験から児童虐待に深い嫌悪感を抱く新名。
彼らが1994年の秋に「びっくり館」に集まったからこそ、俊生は罪とならなかった。
そのキャスティング自体が、邪悪な「梨里香」の意志だったとしたら・・・

本当に恐ろしい結末が、「びっくり館」の扉の向こうに待っているのかもしれません。


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うぬぬぬ (あかね)
2007-05-12 19:31:27
さすがです。viviandpianoさん!
考察が深い~!
わたしは最初読んだ時点で、ただ、真実にショックを受けただけだったけど、
viviandpianoさんの記事を読んで
「うわー」って思いました。
めちゃくちゃ恐ろしいじゃないですか!?(涙)
でも、そーなんですよね。。。綾辻先生ですもんね。全て計算されてるハズですよね。。。
読みが甘すぎな自分に反省デス(笑)
読み返してみようーっと♪でも、イラストきれいだけど、けっこーリアルでこわいですよね。夜寝れなくなりそーだなぁ
返信する
怖いでしょ? (viviandpiano)
2007-05-13 17:45:36
「オーメン」の映画を思い出してしまいました。
まあ現実としてはありえないんですけど
(火村だったら、絶対信じないだろうけど)
こういう不気味な展開が綾辻先生なのですね。
やっぱりホラーな味わいというか。

基本的に「痛く」なければホラーめいたものも、
オカルトめいたものも大丈夫なんです。
でも、あの表紙のは・・・
あんな人形が家にあったら・・・夜、眠れない!!
返信する
昨夜。。。 (あかね)
2007-05-15 12:45:36
眠る前にちょっと読み返してみて
ものすごく恐ろしくなってしまいました(涙)
でももう一度十角館から読み返してもいいかな~
ってくらい
やっぱり館シリーズって面白いですね♪

ホラーテイストバリバリの綾辻作品にも手を出そうかな♪
夏だし。。。ホラーにもチャレンジ!?(笑)
返信する
綾辻作品 (viviandpiano)
2007-05-16 00:57:05
私は本格ものは全部読んじゃったので、ホラーしか残ってない(^^;
あかねさんは『どんどん橋落ちた』とか『霧越邸殺人事件』は読みましたか?
これは痛くない本格なので、未読なら是非♪
『殺人方程式』『鳴風荘事件』も大丈夫。

『囁き』シリーズと『殺人鬼』シリーズ、
『眼球奇譚』『最後の記憶』が未読で残ってます。
う~ん。やっぱり『囁き』からかな・・・
返信する
綾辻作品 (あかね)
2007-05-16 18:28:43
綾辻作品は館シリーズしか読んだ事無いんです(爆)
だって、他の作品、こわそうなんだもん(笑)
でもアンソロジー系の本で何作か読んだ事はあるのですが、けっこー不思議でホラーだな~とは思ってました♪
viviandpianoさんのレビューを読んでいて、ほんとは未読の綾辻作品にも手を出したいのですが。。。なかなか。。

わたしもイタイ系は苦手なので『どんどん橋落ちた』か『霧越邸殺人事件』からチャレンジしてみます♪
館シリーズも楽しみ楽しみ♪
一応10作で完結予定なんですよね?
ドキドキします。
返信する
ぜひ♪ (viviandpiano)
2007-05-17 00:49:13
『霧越邸』は館シリーズのような雰囲気です。
長編の世界観が、まさに綾辻風!

『どんどん橋』は問題作?という短編集。
(読んだら怒る人もいるかも・・・)
イゾノ家のお話が・・・ブラックです(^^;

『殺人方程式』の明日香井兄弟の話は、アットホームな感じで、
特に安心して読めますよ(^^)
返信する

コメントを投稿