下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

今邑彩『七人の中にいる』

2010-12-24 17:58:53 | 
クリスマスイブに合わせて読んだ作品ですが、初めて読む作家さんです。
でも、文体には癖もないし、さくさくと読めました。


軽井沢のペンション「春風」で、
クリスマスイブの夜にかけて、小さな集まりが催された。
それは、ペンションのオーナー・晶子とシェフ・郁夫の結婚を祝って、
常連客の老夫婦が発起人となったパーティーだった。
ところがパーティーを前に晶子に謎の封書が届けられた。
そこには、21年前に起こった医者一家惨殺事件の復讐予告が書かれてあった。
晶子と家族をねらっているのは、あの事件の生き残りの「彼」なのか??
当時事件に関わった晶子にとって、辛く不安な時間が始まった・・・


かなり陰惨な21年前の事件の記述から始まるこの作品。
どう考えても行き過ぎでしょ・・・と思うけれど、人は豹変するのか、
それとも、ある一線を越えると、そうなってしまうのか。
のっけから、なかなか衝撃的な展開でした。

そして、現在(ちょっと昔設定ですが)に舞台は移ります。
晶子は6年前に夫を亡くし、20歳になる娘・あずさがいますが、
ペンションのシェフである郁夫と再婚することになった、といういきさつ。
パーティーには晶子の家族以外に、7人の客が参加することになっています。
つまり、タイトルの「7人」というのは、この7人を指している・・・はずですが、
そのうち1人は、飛び出したまま戻ってこないわけで(^^;
でも、読み終わると、なるほどね・・・という感じではあります。

問題の事件には、当時5歳だった男の子の生き残りがいました。
当然、脅迫者としてはこの人物がイメージされます。
21年前の事件だから、今は26歳のはず・・・
そして、この「7人」の中に、さっそく26歳の青年がいるわけなんですが、
まあ、それほど単純ではないです(^^;

作品としては、何とも落ち着かない読後感でした。
ドタバタのような場面の間に、突然冷ややかな悪意が入り込んできて。
多分、軽めの文体と重いテーマのバランスが少し悪いんでしょう。
う~ん、そこで「悪い」と言ってはいけないのかな、計算かもしれないですし。

ごにょごにょ言ってますが(^^;
でも「え~、この後どうなるの?」というプロットはなかなかのもので、
そういう意味では、かなり「読ませる」作品でした。

今邑氏の文体を確かめるためにも、他の作品も読んだ方がいいかな・・・


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
メリークリスマス (江守森江)
2010-12-24 20:54:15
デビュー作の「卍の殺人」はプレ鮎川哲也賞(13の椅子)らしい本格ミステリです。
一押しは数年前に講談社ノベルスの有栖・綾辻セレクションで復刊した「エニシダ(←漢字忘れた)荘の殺人」でしょう。
どこかの書評で読みやすいけどすぐ忘れる作家の代表と書かれてました。
中公文庫では「ルームメイト」が売れたので今一番プッシュしてます。
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ハッピークリスマス ()
2010-12-25 00:14:46
いままで、土壺さんとカラオケをやっていました。久しぶりに、ベロベロに酔いました。

来年こそは、本格ミステリに挑戦しようと思います。





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江守森江さんへ (viviandpiano)
2010-12-26 01:11:26
なるほど、デビュー作&「エニシダ荘」がオススメなのですねh☆
実は「ルームメイト」も気になっています。

ちょっと個性に欠ける作家かもしれませんが、
いいプロットもあるので、そのうち読んでみたいです。
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満さんへ (viviandpiano)
2010-12-26 01:13:03
土壺さんとカラオケですか(笑)
土壺さんが、どんなカラオケを歌うのか、
ちょっと気になります。

本格ミステリ、ハマると楽しいですよ☆
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7人って? (翠香)
2010-12-26 23:55:27
始め、7人って誰を指すのか分からなかったのですよ。
人数がなんか合わないし・・・。
しばらくして客が7人なのね、と納得しましたが(^^;)
ま、ある意味犯人は予想通りでしたけど。
「ルームメイト」も似たような感じで、軽めの文体の割にはテーマが重いです。
著者のあとがきも妙に軽くて違和感ありますね(^^;)
2作しか読んでませんが、おそらくこういう文体なんじゃないかな~?
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翠香さんへ (viviandpiano)
2010-12-27 00:46:28
私も犯人は予測済みでしたけど、
やっぱり、ちょっと無理がありますよね・・・

やっぱりこの文体なんですか(^^;
う~ん・・・何を書いても同じ文体というのは、
作家にとってかなりのハンデですけど。
作風というか、作品がマッチしてれば問題ないけど。
その点、尊敬するのは我孫子先生です。
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メリー★ (あかね)
2010-12-27 22:48:54
メリー・・・アフター、クリスマス
&有馬記念お疲れ様でした~

今邑彩先生の作品は、私も読んだことがないのですが、この作品ってクリスマスのものなんですね???

軽めの文体と重めテーマかあ~・・・
気になりますです

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あかねさんへ (viviandpiano)
2010-12-28 00:57:15
この作品、クリスマスイブに向けての、
色々が見所なんですよね。
裏表紙で確認してたので、この時期に読むつもりでした☆

文体やキャラクターの描写は軽めなんですよ。
でも、突然、深刻な場面になったりして、
ちょっとその辺の流れに戸惑う感じです。
文体は作家の個性だけど、
やっぱり幾つかのパターンがある方がいいですよね。
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