フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 66回目の終戦記念日を迎えました。
 毎年思うことですが、戦争の犠牲になった人たちを追悼することは大切なことです。ただ、日本の終戦記念日はそれだけに偏っている気がします。それだけでよいのでしょうか。

 何度か書いたことですが、私はロンドンで8月15日を迎えたことがあります。西欧諸国では、その日はVJ Dayと呼ばれ、「民主主義がファシズムに勝利した日」としてお祭りのような騒ぎになります。
  → 
「VEデイとVJデイのこと」

 それを見ていて、それだけでよいのかという気持ちもわいてきましたが、同様に日本の終戦記念日を見て、それまで当然と思っていた日本の終戦記念日のあり方にも疑問を感じるようになってきました。犠牲になった死者を追悼することは大切ですが、日本はなぜあの戦争に突入してしまったのか、なぜあの戦争を避けることができなかったのか、その責任は誰にどのようにあるのか。そういう検証の視点が足りないのではないでしょうか。
 そういったことに踏み込めば思想・信条の違いが浮き彫りになってしまいますが、死者を追悼するという一点に絞れば誰もが一致できる。そういった表面上の調和だけを重視するがために、もっと重要なことから目をそむけている気がしてなりません。




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