先週は「高所恐怖症」について書きました。セントポール大聖堂の体験から、突然高いところが恐くなったわけではありませんが、その頃から恐い気持ちが強くなったような気もします。
「高いところ」と書きましたが、正確に言えば「高さ」が恐いのではなく、下が見えて落ちそうになってしまうことが、恐いのです。イギリスの話が多くて恐縮ですが、たとえば、2006年にロンドンのある劇場でミュージカルを見たときのこと。通常は1階席(Stalls)か、せめて2階席(Dress Circle)で演劇を見るのですが、そのときはあいにく満席に近くて、3階席(Upper Dress Circle)のチケットしか買えませんでした。下の写真は日本の劇場の写真ですが、1階、2階、3階というのは、このような感じです。
そうしたら、ミュージカルが始まる前になんだか「不快」なのです。しかし、自分でもなぜ「不快」なのかわかりません。楽しみにしていた観劇のはずなのに、ただ、なんだか「いやだなあ」と思っていたら、突然気づきました。「ああ、この席に座っているのが恐いんだ!」と気づいたのです。
写真でわかるように、すべての席から舞台が見られるように、座席には傾斜がついています。1階、2階、3階と高くなるほど、その傾斜は急になります。高さそのものはそれほどでもありませんが、3階席の傾斜によって、前に転げ落ちそうで、恐くてたまらなかったのです。
これと似たようなことは、スポーツ観戦でもありました。日本のスタジアムには、それほど傾斜がきついところはないのですが、私が恐かったのはイギリス、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地 Old Trafford stadium です。多くのサッカー競技場、特に日本の競技場の観客席は一層式または二層式で、観客席に座れば、他の観客席もすべて見渡せます。しかし、Old Traford などの競技場は6階建て、7階建てになっていて、上の写真の劇場のような客席が6層、7層に重なっていることがあります。となると、当然、上に行くほど、傾斜が急になります。
マンチェスターにある Old Trafford stadium の外観
ご存知のように、マンチェスター・ユナイテッドは、世界でも人気リーグであるイングランド・プレミアリーグの、その中でもビッグ4と言われる人気チームの1つです。私が観戦しようと思ったときもチケットはほとんどなく、事前にネット販売で、上の方(ピッチから遠くの方)の席を確保するのがやっとでした。
というわけで、行ってみたところ、階段を登る、登る。とにかく階段を登って席につくと、見え方は下の写真のような感じ。日本の競技場のような空まで見える見え方ではなく、下の座席と上の階の屋根で区切られた隙間からピッチを見るような感じ。これも、日本の競技場よりは芝居を見る劇場に近い印象です。
Old Trafford stadium 上の方の席からの眺め
そして、劇場の場合と同様に、このときも「高所恐怖症」が出ました。7階(?)席の座席の傾斜がきつく、サッカーを見ていても、なんだか下にころげ落ちそうで恐くなりました。気温は低いのに手に汗をかきそうなくらい、座席の端をしっかりと握って、試合を観戦したことを憶えています。
その一方なのですが、高いから恐いというわけではなく、平気なものもあります。そのひとつが飛行機で、飛行機に乗ることはあまり恐くありません。通常の大型機だけではなく、下の写真のような小型飛行機にも乗ったことがありますが、それも別に気になりませんでした。
飛行機が恐かったら、海外はもちろん、国内の出張や旅行などにも支障が出てしまいます。それがないということで、「高所恐怖症」と言っても、特に日ごろの実害はありません。今回、教え子の結婚式に出られなかったのは少し残念ですが、新郎、新婦、ご家族ともに幸せそうな披露宴に出られたので、私の方はそれで十分でした。
私のこの「高所恐怖症」とは、これからもぼちぼちとつきあっていきたいと思っています。
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