60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

音読しないで意味が分かる

2006-08-25 22:37:41 | 文字を読む

 脳の障害で文字が読めなくなる失読症というのがありますが、ひらがなが読めなくなるのに漢字がある程度読めるという症状もあるそうです。
 むかしは言語処理は左脳の役割と思われていたので、漢字が象形文字だという先入観もあって漢字は右脳で読んでいると考えられたようです。
 右脳で漢字を読むかどうかは別として、カナが読めなくなるのに漢字が読めるというのはカナを処理する場所あるいは機能と漢字を処理する場所が違うことはたしかです。
 カナが読めないのに漢字が読める場合があるからといっても、すべての人がカナと漢字を別の場所で処理しているとは限りません。
 
 まず、この手の失読症の人が漢字が読めるといっても、どんな漢字でも読めるわけではないようです。
 読めるといっても熟知性のある漢字で、しかもすべて正確に読めるというわけではないようです。
 図の例のように「果物」というのを「ヤサイ」と読んでしまったりするのは、ボンヤリ意味が分かっているがハッキリしないので近い意味の単語を言っています。
 読むというより意味を言おうとして不正確な答えをいっているわけです。
 「岡山」を「コウベではなし、オオサカではなし、、」というのは、関西の都市名だと分かっているが名前が思い出せない」ということで、イメージ的にはつかんでいても名前が出てこないという状態です。
 正解は「クダモノ」ダトカ、「オカヤマ」だといわれれば、「ああそうか」ということになるのでしょうが、文字のイメージが音声と結びついていないのです。

 単語の文字イメージと、音声が分離しているということは欧米でもあるそうで、図のようにdogという文字を見て「ホース(馬)」と答えたり、carという単語を見て「ロコモティヴ(機関車)」と答えたりした患者があるそうです。
 動物であるとか乗り物であるとか、似たような意味のものをいうのは、漢字のケースと同類で、単語についてのイメージがある程度の残っていても正確ではないという例です。
 英米人であっても単語の文字イメージが意味と結びついている場合があるということです。
 アルファベットは音声を表現するものだとされていますが、アルファベットを組み合わせた単語はひとまとまりのものとして記憶されて、そのとき意味とも結びついているのです。
 
 英語の速読法でも文字を一つづつ見るのでなく、かたまりとして見て音読せずに読むようにすることが必要としています。
 速読でなくても、読みが熟達してくると音読をせず、単語を見ただけで意味が分かるようになるのですから、音読しないで意味が分かるのは漢字だけではないのです。
 漢字化アルファベットかという問題ではなく、読み手が音読をしないで意味が分かるようになっているかどうかが問題なのです。
 文字イメージと意味との結びつきもひとによって差があるでしょうし、正確で強い結びつきを確立していれば読解力も優れているということになるのでしょう。