60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

読みの手がかり

2006-08-15 23:18:45 | 文字を読む

 文字を読み取れる範囲は視覚的にはっきり分かる範囲と同じではありません。
 図の一番上の行は透明度が低いフィルターがかかっているので何とかいてあるか読めないと思います。
 二行目ははじめの6文字の透明度を少し上げています。 
 三行目は最初の4文字を更に少しだけあげ、4行目は最初の3文字の透明度を更にあげています。
 4行目の段階になると「大草原の小さな家」と読めると思います。
 (「大草原の小さな家」というドラマを知らない人は「大草原の小さ」まで読めて後がわからないということがあるかも知れませんが)
 4行目で文字が読めた後、3行目、2行目、1行目ともどっていってみると、2行目はもちろんのこと、最初の行も読めるようになります。

 何の手がかりもないまま最初の行を見れば、よほど注意を集中してもなかなか読み取ることは出来ませんが、手がかりがあれば何とか読み取れるのです。
 先行する文字とのつながりで自動的に予測されるとか、前に出現した単語と同じであるため分かるとか、はっきり見えなくても分かる場合はあります。
 たとえば右の例では、「薄利多売」とか「名誉挽回」とある文字列がすべてぼやけている場合は読み取りにくいのですが、最初の二文字がはっきり見えればそれが手がかりになって後ろの文字は読みやすくなります。

 文章を読む場合、読み取った単語を一時的に記憶しておかないと文章の意味は分からなくなってしまいます。
 味覚や嗅覚の場合は刺激が強いほど記憶に残りますが、文字の場合は大きな文字とかくっきりした文字でなければ記憶に残らないということではありません。
 文字が小さすぎたり、ぼやけたりした場合は読み取りが難しいというだけで、読みとった後の主な記憶の対象となるのは文章や単語の意味です。
 もちろん文字があまり小さかったり、ぼやけていて読み取りにくければ、文字の読み取りに注意を多くとられるので、意味を理解したり記憶したりするのに妨げになります。
 したがって読み取りやすい文字の大きさとか、明瞭さだけでなく、文字をはっきり見ることの出来る目の中心視野で見る必要があります。
 ところが、はっきり見ようとしてあまり狭い範囲しか見ないと文字や単語のつながりがわかりにくくなり意味の理解が届きにくくなります。
 したがってボンヤリしている周辺部分をも取り込んで見える範囲にする必要があります。