60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

注意の向け方で変わる読みやすさ

2006-08-18 22:32:52 | 文字を読む

 一行目は真ん中の文字が小さくて読み取りにくくなっています。
 ここ二注意を向けて読み取ろうとすると、両サイドの字が「大」と「治」から外側がほとんど読み取れなくなります。
 同じ文字列でも2行目の場合は字が大きくなっているのでやや外側の文字がよく見えます。
 注意を集中するということは、他の場所に注意が向かわないようにするということなので、狭い範囲に注意を集中すれば周りが見えにくくなるのです。
 注意を一箇所に集中すればするほど文字を認識できる有効視野は狭まるのです。
 
 3行目はひらがなが交じって全体が見渡しやすくなっています。
 これは漢字よりひらがなのほうが認知しやすく注意を多く要求しないので全体に注意を向けやすいためです。
 4行目は間にあるひらがなは2種類、漢字が一種類になっているので、注意を向けるべき文字の種類が少なくなっているためさらに全体を見渡しやすくなっています。
 さらに4行目のように間の文字が一種類になってしまうと、子の9文字にほとんど注意を向けなくてすむので、全体が見渡しやすくなっています。

 ところが5行目のような場合は、4行目のように間の文字は同じ文字ではないのに、4行目と同じように全体を見渡しやすくなっています。
 これはどうしてでしょうか。
 5行目の間にある「おはようございます」という文字列は、パッと見て一つの塊として自動的に認識できるので、注意を多く向ける必要がないからです。
 4行目の「いいいいいいいいいい」と「い」だけを並べた単純な文字列と同じように認知の負担が少なくてすむためです。
 
 こうして見ると文章を見てパッと理解できる場合というのは、文字数だけの問題ではないということが分かります。
 漢字が多すぎたり、知らない単語あるいはなじみのない単語が多ければ、注意を向けなければならない部分が増えるので、全体が分かりにくく、読むのに時間がかかってしまうのです。
 新聞のニュースなどが意外と読みにくいのは、知らない人名とか、地名あるいはなじみのない官庁の組織名、法律用語などが多く登場するためです。
 新聞の文章は簡潔でなければならないので、短くて論理も複雑ではないのですが、文章を簡潔にするために漢語を多用するので結構読みにくいものとなっています。