60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

自動化された読み

2006-08-23 22:57:15 | 言葉と文字

 ストループテストというのは、色のついた文字を見て、文字の色を答えるというもので、素早く答えるように要求されると、引っかかったり、うっかり文字を読んでしまったりします。
 文字の色と文字の意味とが一致すればよいのですが、一致しない場合文字の意味にひきずられてしまうためです。
 文字の色を答えるように要求されているのに、なぜ文字の意味のほうに引きずられてしまうのでしょうか。
 文字を見たとき文字の色は感じ取られているのですから、そのまま色の名前を言えば間違えることはないはずです。
 ところが文字を見たとき、文字を読める人は自動的に読みをスタートさせていて、文字の色を答える前に読みを音声化してしまうのです。
 
 もし文字の色を声を出して言うのではなく、図のように並んだ色を指差してこたえるとか、番号で答えるようにしたらどうでしょう(あるいは目でみる)。
 「ちゃ」と「あか」は紛らわしいですが、色を声に出すより間違えにくいのではないでしょうか。
 たとえば緑色で「あお」と書いてあるのを見て、青い四角を指差すのではなく緑の四角を指差すでしょう。
 最初に少し間違ったとしてもすぐになれて、瞬間的に同じ色の四角を指すことが出来るようになるはずです。
 
 理由は二通り考えられます。
 一つは文字を見ても読まないで、瞬間的に上の四角の色のほうを見るようにすれば、文字と同じ色の四角が分かるのでそれを指差せばよいからです。
 もう一つは、「あお」と心の中で文字を読んでしまっても、答えは指差すことになっているので四角を探すときに色を見比べるからです。
 文字の色を見てそれを音声に変換するのではなく、同じ色を指差すので間違えにくいということです。
 文字の色を見て音声に変換するのは、文字を読むという作業より遅いので、読みの作業結果がポロリと先に出たりするのです。

 図の下にある文字、たとえば「視」という文字を見ながら「シ」と読む文字を出来るだけ多く思い浮かべようとします。
 目を閉じてなら多く思い浮かべられるのに。文字を見ながら思い浮かべようとすると少ししか出てこないと思います。
 「視」という文字を見て、「シ」と読んでしまうので他の字を思い浮かべるのが難しくなるのです。
 「カク」と読む「覚」という字を見ながら他の「カク」という字を思い浮かべるのは、他の文字を見ながらより難しいのは、「覚」を自動的に読んでしまうからです。
  しかし、文字を見ると自動的に読んでしまうというのは、文字を読みなれた結果身についた反応で、そのこと自体はけっしてマイナスではありません。
 簡単な文字を見るごとに読むべきかどうかと判断を留保していては、文字を読む能率は極端に落ちてしまうからです。