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動物も錯視する

2006-04-10 23:12:24 | 視角能力
 鈴木光太郎「動物は世界をどう見ているか」には、動物も錯視をするという研究が紹介されています。
 レヴィナスという学者が、ニワトリに同じ形で大きさの異なる二つの図形を並べて見せ、大きく見えるほうをつつくように訓練したあと、a図(ジャストローの錯視)を見せると内側の扇形のほうを数多くつついたそうです。
 この二つの図形は実際は同じ大きさなのですが、内側の図形のほうが大きく見えるのですが、ニワトリも人間と同じように錯視をしたと推測しています。
 デュッカーという学者も同じような方法を使って、b、c、dの3種のすべてで、鳥(ニワトリ、ツグミ)や魚(フナ)が錯視をしたとしたそうです。
 
 動物も錯視をするとするということは、その錯視は脳の錯覚ではなくて、光学的あるいは物理化学的な現象だということを示しているようです。
 つまり大きく見えたという場合は、実際に大きく見えたということで、大きく見えてないのに脳が錯覚したのではないということです。
 心理学などで使われる「遠くにあるものは小さく見えるはずだから、実際はもっと大きいはずだと思うから大きく見える」という説明や「陰になっている部分は暗く見えるはずで、本当はもっと明るいはずだと思うから明るく見える」というような説明はやはりおかしいのです。
 「形が似ているから同じものだと間違えた」というような説明の場合は納得できますが、脳が推理をしたり、判断をして実際見えているのとは違うように見えてしまうというのはヘンです。
 眼は正しく見ているのに、脳が間違って判断するというのなら理解しやすいのですが、脳が合理的な判断をするので眼がそれにあわせようとして間違った見方をするというのは無理があるのです。
 
 ものを見る場合は人間にしろ動物にしろ視線を動かさずに見るということはありません。
 見るものの位置とか形によって視線の動かし方や、焦点距離が違ってきたりするので、同じものでも網膜に映る像は変化します。
 動物に視線を動かさずに見ろとか、二つのものを同時に見ろとか指定することはできないので、見え方が変化するのです。
 人間の場合は意識的に焦点を変えたり,視線を固定したりすることが出来るので見え方を帰ることが出来ます。
 それによって、錯視せずに見ることも出来るので、視角能力という点では人間は動物より優れているといえます。

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1 コメント

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Unknown (ングマモネネ)
2017-04-26 18:02:58
>動物も錯視をするとするということは、その錯視は脳の錯覚ではなくて、光学的あるいは物理化学的な現象だということを示しているようです。

ここがよく分かりません。見ている以上は脳内で処理して認識している訳ですが、動物を実験に用いた事でその脳内処理による錯覚である理由を否定するのは、根拠が足りないと思われます。少なくともその動物では錯覚させる脳内処理が行われないという論拠がなければ成立しない理屈なのですが、それを示した文面がなく如何ともし難いです。

>それによって、錯視せずに見ることも出来るので、視角能力という点では人間は動物より優れているといえます。

こちらもいささか分かりづらいです。優れている点を挙げるているとしたら、人間は焦点を変えたり視線を固定したりして見え方を変える事ができる、という点なのだろうと思いますが、それを動物ができない論拠が示されていません。敢えて挙げるとしても「ものを見る場合は人間にしろ動物にしろ視線を動かさずに見るということはありません。」という部分しかありませんが、その断言されている根拠が明示されていないので読む側においては論理の飛躍を感じざるを得ません。
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