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脳の活動状況を計測し、そのデータ解析によって人間がものを見ているときの画像を再現することができるようになったといいます。
国際電気通信基礎研究技術研究所が開発した技術では、画像を見たときの脳の視覚野の活動パターンをMRIで読み取り、コンピューターの画面上に元の画像を再現できたそうです。
実験で使われた画像は簡単な図形やアルファベットですが、かなりもとの画像に近いもので、将来的には複雑な画像も再現できる可能性がありそうです。
この実験でははじめに数百種類の図形やアルファベットを見たときの脳活動データをコンピューターに記憶させ、そのあと別の記号や図形を見せたところ、ほぼ完全に再現できたということです。
見たことのある図形については、コンピューターで脳の活動パターンが記憶されているので再現できるのは当然でしょうが、見たことがない図形や記号でもそれに対応した脳の活動パターンを計算して再現できたのです。
そればかりか実際に図形を見せなくても、頭に思い描いた画像を再現できたケースもあったそうで、このことから夢とか想像を再現することも将来的には可能になるかもしれないといいます。
頭に思い描いたイメージを画像化できたということは、記憶しているイメージが画像化できるということですが、このとき見ている画像のほうはどうなったのでしょうか。
実験のときは目を閉じるなどして何も見ないようにして、頭のなかで思い描いた画像のみに注意したのかもしれません。
現実には何かものを見ながら別のものを頭に思い浮かべることは可能で、たとえば幾何学の補助線などは図形を見ながら思い浮かべることができます。
このとき私たちは実際に見ている線と、頭に思い描いて付け加えた線を区別できていますが、脳の視覚野では区別できるのでしょうか。
人間がものを見ているときは、写真のようにそのまま見ているわけではなく、経験イメージを参照して見ています。
たとえば犬を見たとき、犬だと判断するのは犬のイメージが記憶にあって、それとの比較で犬だと判断するわけですから、このとき記憶されている犬のイメージは脳に呼び出されているはずです。
頭に思い描いた図形や記号が、視覚野の活動パターンに反映されるのであれば、ものを見ているときに記憶から呼び出されるイメージも反映されるはずです。
先の実験では見て記憶された画像イメージと、実験で見ている図形が同じなのですが、日常経験では記憶イメージと見ているものにはずれがあります。
このとき脳はどちらのイメージが優先しているのかわかりません。
人によっては目に見えているものしか見えず、記憶イメージのほうが強く、目に見えているものを見誤るということもあります。
もしコンピューターの画像解析が進んでこれらを同時再現できれば、落ちている縄を見て蛇と錯覚しているとき、視覚野では、目に見えている縄のイメージが薄く、記憶から呼び出された蛇のイメージが濃く再現されるのかもしれません。
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