そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

4月29日(日)阿古屋松

2012年04月29日 | 公開

 「阿古屋松」の復曲をを観に国立能楽堂へ行く。尊敬するゲンゴロウ先生もお越しになるというので、同居人に頼んでチケットをとってもらったんだ。きゃ~、丸眼鏡が素敵!

 観世宗家に世阿弥筆本(重要文化財)が残っているという曲なのだが、上演記録は全く無い。ということは、実はよほどつまらん失敗作なのかもしれない。パンフレットや、檜書店刊の謡本を購入して、席につく。脇正面の一番後ろだった。

 松岡心平氏の解説30分は、5分オーバーしたが、中身はパンフレットに寄稿しておいでの内容とほぼ同一だった(そんなことは喋る必要がない!)。おいおい、行成は実方に落とされた冠を、自ら拾って被り直したのかよ?と、つまらんことで引っかかった。そんなことしたら。行成のほうが陸奥に行かされちゃうぞ(主殿司に取らせたことになっていたはず)。話の最後に、陸前高田の松に結びつけて、東日本大震災の復興に今日的意義あらしめんとのご意図だったように承ったが、もっとはっきり申されたらよかったのに。

 シテは観世ご宗家である。謡本ももちろん初版で、助詞の「は」のみカタカナ書きなのは例によって気に食わぬが、業界の約束事なのだろう。それのみならず、「姉歯」は「アネワ」で、舞台でもそう発音していたくせに、謡本には「アネハ」とカタカナで振ってある。こもごも、存外杜撰だなあと思う。前の椅子の背に出る字幕?と、パンフレットの詞章とはまともだったが…。それにしても、上演時間長過ぎ~!

 舞の段になって、顕現した塩竃明神の舞は、あんな翁舞みたいなやつだったのろうか? 詞章とはまったく合致しないような気がした。結局、どこが見どころなのか、能楽は素人の私には皆目分からなかった。京都観世会でも上演されるから、演出を比べてみるとよいのだろう。もうチケットは無かろうなあ。観客はいっぱい入っていた。マスコミで取り上げられると、違うものだな。

 さて、新宿へ出て、高島屋の上のユザワヤでジャケットの釦を買い、昼飯を食べそびれたので、上の階の蕎麦屋でせいろを1枚だけ、りんだもぢった。今日の粉は××産と仰々しく札を立てているから、期待したが、この値段でこの水準か!? という感想。まあ、場所が場所だけに、高いのはいたし方ないのかな。新宿駅構内の成城石井でおかずを買い、乗り換え駅のエキュートでもおかずを買い足して帰宅。「平清盛」を観ながら夕食を食ったが、歌会のシーンに、私はほとんど卒倒しそうになってしまった! 朝ドラの時代考証や大道具・小道具は、あんなにも、驚異的というべきほどに細かいのに比して、大河ドラマはなんじゃらほい? 大河ドラマとはしょせん、歌舞伎の時代物と知るべし。東大の偉い先生が考証に加わっておられるよしだが、いくらなんでも、何とかして欲しいわ。まあ、成親が講師を務めていたというのは、『平家物語』ベースの伏線ということなのだろう。そこには、周知のとおり「阿古屋松」が絡むから、今日一日の私の行動?も、ひょんなことで脈絡がついたというべきか?


4月29日(日)週間駄洒落尽くし

2012年04月29日 | 公開

 演習のクラスコンパの時、「ウチのコースには何が足りないと思う?」と学生諸君に尋ねたところ、「それは若さです」と即答が返ってきた。なるほど、一番若いT教授だにすらさへ四十過ぎで、まあ平安時代は数えの四十歳から老人だからねとため息をつく。すると、気を遣ったのか、「いえいえ、妙に若くて生々しい先生よりも、お年寄りのほうがマシということもあります」と、慰めてくれた。う~ん、若さが足りないなら、加齢ということかな?と言っても、学生さんにこの洒落は通じなかった(若狭カレイ)。若さがないなら、隣でタンゴでも踊るか。

 金曜は雨が降って不快だった。研究室受付のところで、雨が~小粒の真珠なら~♪ と口ずさんでいたら、係の恰幅のよろしい男性が、あ、その唄知ってます!と嬉しいことをおっしゃる。他の係の女性方は首を傾げておいでなので、「御木本パールは倒産だ~♪」と続きますなと冗談を言ったが、分かってくれたのはくだんの男性のみであった。橋幸夫も、きょうびは通じないか。

 土曜の「梅ちゃん先生」は、鶴太郎が「復興節」を唄っていた。いや、なつかしいね~と言えば、同居人に、あなたは一体いくつなのよ?と呆れられた。だって、池袋の駅前なんか見渡すかぎり焼け野原だったじゃないか! まあ、こういうところへ東日本大震災からの復興へ向けてのメッセージが込められているのだろうね。なにしろ私は、アリサカライフルを担いで戦場へ行った戦中派なのだ!(ねえ、戦友A教授)

 ネクタイを受け取りに同居人とデパートへ行った。地下の食料品売り場へ降り、上林春松本店で「好の白」の20g箱入りを2つ買ったら、間違えて1個分の値段でカード処理をされた。売り場のおばさんがすぐに気づいて、追加処理してもらったが、詫びに抹茶入り玄米茶をくださった。笑う門にはラッキーカムカム(痴楽)であるぞ。また間違えてくださいねと申し上げたら、あははと冷たく笑われましたわ。

 お菓子売り場の趣向は、もう端午の節句である。柏餅などがあちこちの店で売られていた。端午の節句の行事は、もともとは中国から入ってきたものだ。私は同居人と汨羅の淵を訪れたことがある。同居人は書の達人だが、屈子祠で何か揮毫させられていた。それはそうと、日本以外でこの行事が盛んなのは、A君の故国の亜爾然丁共和国である。日系移民の方々が持ち込んだにちがいない。ときに、亜爾然丁はずいぶん乾燥したお国らしい、節句(sec)だけにね。あ、、あそこはフランス語ではなくてスペイン語だったか。

 また、このかしわ餅は主に千葉県で生産されているんですね、分かるかな~? と言ったら、もう、お店の人に変なことを言わないでと、同居人に後ろから頭を殴られましたわ。