史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

いわき Ⅳ

2020年05月02日 | 福島県

(鮫川橋ポケット公園)

 JR常磐線植田駅から徒歩八分。鮫川橋の手前に小さな公園があり、そこに吉田松陰が当地を来訪したことを記念する石碑がある。もとは後宿児童公園にあったものを、平成二十三年(2011)、新しい鮫川橋の建設を機に、最初の建立予定地であった河畔に移設したものである。石碑裏面には、松陰の「東北遊日記」の一部が刻まれている。

 

 

殉國 吉田松陰先生遊歴之地碑

 

 松陰が植田を訪れたのは、嘉永五年(1852)正月二十三日の夜であった。松陰二十一の時である。

 松陰は、浪人松野他三郎と名を変え、同志とともに江戸から北上、磯原に泊まり正月二十三日に出立し、その日の夕刻植田宿に到着して泊まった。翌朝は、番所地点まで戻り、道標を右折して山田、上遠野から御斎所街道に出て。竹貫(古殿町)で宿泊して会津へ旅立った。松陰はその行程を「東北遊日記」に記し、このうち鮫川越えに関しては「大島を過ぎ、鮫川を渡り、植田に宿す」と記録し、同志との別れの心情を七言古詩に託した。そして最後に「夜、雨」と結んでいる。

 

 この石碑が建てられたのは、昭和十七年(1942)のこと。日に日に戦争の色が濃くなる中、住民を鼓舞するために計画され、寄付金を募って建設された。当初は、植田駅前にあった植田小学校の講堂脇に建てられたが、校舎移転により昭和四十一年(1966)に後宿児童公園に移築された。

 

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