史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

仙台 Ⅶ

2019年07月20日 | 宮城県

(芭蕉の辻)

 この場所は、仙台城の大手から城下を東西に貫く幹線大町と奥州街道が交差する十字路に当り、古くから「芭蕉の辻」と呼ばれてきた。名称の由来は、かつてここに芭蕉樹があったためとも、繁華な場所ゆえ「場所の辻」が訛ったものともいわれるが、定かではない。正式には「札の辻」であり、制札が掲げられていた。

 

芭蕉の辻     

 

 嘉永五年(1852)三月、東北を遊歴中の吉田松陰は、善應寺の蒙古の碑を見た後、原町を経て大街(現・大町)の芭蕉の辻に向かった。

 

(大聖寺)

 青葉区荒巻字仁田谷地の大聖寺に小野寺鳳谷の墓があるという情報を得て、足を伸ばしてみた。しかしながら、大聖寺墓地は新しい墓地に変貌しており、どこを探しても小野寺鳳谷の墓は見つけられなかった。大聖寺は、明治六年(1873)に廃寺となった定禅寺の末寺であり、小野寺鳳谷の墓はもともと定禅寺にあったらしい。残念ながらそれ以上のことは不明。

 

大聖寺

 

(林香院)

 

                     

東海林家之墓

 

 仙台市内に戻って、まず新寺小路の林香院の墓地を訪ねる。墓地入口には、地図があって何家の墓がどこにあるか掲示されているので、目当ての墓に迷うことなく行き着くことができる。

 

 東海林家の墓に東海林龍蔵が葬られている。新しい墓石の側面に「忠道勇義信士 明治元年八月二十日 龍蔵」とあるのが、それである。

 東海林龍蔵は、椙原十太夫手銃士。慶応四年(1868)八月二十日、磐城旗巻にて戦死。

  

(善導寺)

 

善導寺          

 

 続いて善導寺の芝多民部の墓を訪ねた。ところが善導寺に行ってみると、墓地そのものが見当たらない。この日の夜、ゴールデン・ウィークの旅以来、一週間ぶりに再会した竹さんご夫妻と夕食をともにしたが、そこでお聞きしたところによると、善導寺の墓地は、市内葛岡霊園に移設されているそうである。後日、再調査しなくてはならない。

 

 芝多民部は、文政五年(1822)の生まれ。安政二年(1855)、仙台藩奉行職につき、殖産興業、富国強兵策を打ち出し、城下町近江商人中井新三郎を蔵元に任じて全面的な専売仕法を試みた。一方で、改正手形と称し、領内流用の金券を発券させるなど、果断な改革政策を実施した。三浦乾也に軍艦を製造させる等開明的な政策を進めたが、物価高騰による不穏の責を負い、安政五年(1858)、退職。しかし、青年武士によるかつぎ出しの動きが政争化し、慶應元年(1865)十二月、御預け・減封、所替えを命じられ、翌年二月、絶食の末、死去。年四十五。

 

(松音寺)

 続いて、これも新寺の一角にある松音寺である。安田竹之輔と高橋陣伍の墓がある。

 安田竹之輔の墓は、直ぐにみつかったが、高橋陣伍の墓はいくら探しても見つからない。これも、夕食時に竹さんに確認したところ、松音寺の墓地は、寺の本堂をはさんで南北に分れており、高橋家の墓は北側の墓地にあるという。これも地元の人に教えてもらわないと気が付かない盲点であった。翌朝、再訪してようやく高橋陣伍の墓に出会うことができた。

 

松音寺      

 

忠勝院英俊道勇居士 源良知之墓

(安田竹之輔の墓)

 

 安田竹之輔は、六百石。二番座召出格。郡奉行から足軽頭。参謀として戊辰戦争を転戦。明治二年(1869)四月九日、戦犯として切腹。「幕末維新全殉難者名鑑」によれば、仙台八ツ塚長泉寺に葬、とある。

 

 

高橋家之墓(高橋陣伍の墓)

 

 墓石側面には「夏雲勇義信士」という高橋陣伍(または陣吾とも)の法名が刻まれている。高橋陣伍は銃士。山家正蔵指揮。慶応四年(1868)六月二十九日、磐城小名浜にて戦死。三十六歳。

 

(龍泉院)

 

龍泉院 

 

塩沼家之墓

 

 塩沼貞吉は卒。慶応四年(1868)八月二十日、磐城大戸浜にて戦死。墓石側面の記述によれば、法名は「心鏡祖月信士」。「慶応四年八月十一日 貞吉 五十才」とある。五十歳というと、当時でいうとかなりの老齢であるが、一家の働き手である壮年の息子に代わって出兵を決めたのであろう。

 

(光寿院)

 

光寿院

 

 

三國家歴代之墓(三國平八の墓)

 

 墓石によれば、法名は「本念良空信士」。慶応四年(1868)五月朔日、白河口にて戦死。二十九歳。「三國屋平八」と記されている。「幕末維新全殉難者名鑑」には記載なし。

 

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