夢発電所

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随流去

2012-08-16 06:29:12 | こころに残る言葉
8月16日(木)雨

 今朝ほどのNHKラジオ深夜便で「醤油樽(ショウユタル)から始まった若者道場(1) 曹洞宗僧侶 野田大燈氏」のお話を聞いていて響いた言葉が「随流去」(ずいりゅうこ)です。流れに従って去る、という言葉ですが、これは大梅禅師の言葉として伝えられています。
 大梅禅師は、長い期間、山に篭って行をされていたことで有名な唐の時代の高僧です。
杖になる木を探しに山に入ったある修行僧が、路に迷ってしまいます。
そして、たまたまたどりついた大梅禅師の庵で、「山を抜け出るにはどちらに行ったらよいでしょうか」と訊いたところ、大梅禅師は「随流去」と応えたという話です。

「流れに随って去(ゆ)きなさい」、大梅禅師は川に沿って行けば山を抜け出られることを教えてくれたのです。
川の水は低いほうに流れていきますから、その流れに沿って歩いていけば里に導かれるというわけです。
 この言葉には、自分の判断ではなく、大きな真理に従って歩いて行けばいい、という意味が込められています。真理は、川の流れのように、どんな状況にも揺らぐことなく、ぶれることなく低きに向かって流れていきます。
 壁にぶつかっても、必ず進路を見つけ出していくのです。

 私自身の人生を振り返れば、まさに何者かはわからないけれども、見えない力で誘われるように進み、現在があるのです。それが因縁であり、必然だったのかもしれません。自分の娘の幸せだけを考えていたら、きっと現在はなかったと思います。障がいという生まれながらの重荷を背負って生まれてきたわが娘二人の役割は何かを考える時、多くの同じ境遇にある人々の幸せ追求が結果的にわが娘の幸せにつながっているのだという考え方に至りました。もちろんその考え方の根底には、宮沢賢治がいるのですけれども・・・。
 そのひとつの表現方法として「随流去」という言葉が収まるような気がしています。