音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

ブランデンブルグ協奏曲 (ヨハン・セバスチャン・バッハ)

2009-08-10 | クラシック (協奏曲)


改めて書くが、バッハという大作曲家とはいつも突然、衝撃的な出会いをする。この「ブランデンブルグ協奏曲」との出会いは、そろそろCDが世の中に浸透した頃(それでもシングルはまだレコード盤の方が売上が多かったと思われる頃)、友人が引越しの際に音響を全部買い揃えたいからつきあってくれと、秋葉原の電気街へ出かけたときであった。当時、私はさほどオーディオ・マニアではなかったが、プレーヤーはマイクロとテクニクスSL、アンプはプリメインがサンスイ、パワーとメイン別タイプはマランツ、スピーカーはオンキョーM100とヤマハ1000Mを繋いで、余り良く分からなかったが薦められるままに、クラシック、ロック、ジャズに関してはカートリッジを交換していた頃、彼女と共に秋葉原のオーディオコーナーを見て回った。その際に、スピーカーの聴き比べで店員さんが掛けてくれたのが、この曲の4番~6番の入ったCDで、番号のついたスピーカーを色々切り替えてくれたが、私が使用しているオンキョーM100も、ヤマハの1000Mもあり、思わず、なんて良い音なんだと感激してしまい、その日は結局商品を決められなかった彼女と引き換えに、私が初めての据置き型CDプレーヤー(ソニーだったと思う、実はソニーから発売されていたポータブル兼用のCDプレーヤーは持っていたが、やはりまだ、特にジャズとクラシックはレコード派だったので)と、この「ブランデンブルグ協奏曲」のCDを買って帰ったのだ。その辺りから、再び、バッハとの改めてのつきあいが始まる。う~ん、私は本当に典型的な3B派なのである。

そういう訳で、この合奏協奏曲の中では一般的に名曲といわれている「第5番」も勿論好きな曲であるが、私にとっては第4番のド頭に来るリコーダーの音がなんともたまらず聴く度にあの電気屋さんのスピーカーコーナーで旋律に戦慄を覚えたのを思い出す。(だが、演奏者によって随分違いがあり、私は兎に角リコーダーが鳴ってない演奏は駄目である)。曲のタイトルは、ブランデンブルク=シュヴェート辺境伯クリスチャン・ルートヴィヒに献呈されたことから後々そう呼ばれるようになったが、バッハ自身は、自筆譜にフランス語で「いくつもの楽器による協奏曲集」(Concerts avec plusieurs instruments)と記してある。ところが、作曲の経緯や時期については不明な点が多く、一時期に作られたのではなく、大変長い時期にわたって作られているようで、作曲の順番も現在の番号順ではなく、第6番→第3番→第1番→第2番→第4番→第5番の順に作曲されているというのが定説である。なるほど、第4番、第5番は完成度が高い筈である。第5番の評価が高いのは、ひとえにチェンバロと弦楽器との絶妙なアンサンブルに尽きる。この曲はチェンバロが合奏されている協奏曲の中では最高の曲であり、バッハ自身においても「チェンバロ協奏曲」より質が高い。しかも実質上至上初の「チェンバロ協奏曲」であり、これが後々の「ピアノ協奏曲」という名作を生み出した大元であると思うと、評価も高いはずであろう。私も第5番を聴くたびに、バッハの時代にピアノがあったら、一体どんな曲を書いたのだろうと思うし、また一方で、「ゴルトベルグ変奏曲」のピアノバージョンなんかを聴いていると、バッハとピアノが出会っていたら、恐らくその後の音楽の歴史がかなり変わってしまって、もしかしたら、ベートーヴェンとかショパンなんかは活躍できずに(そうなれば当然、ブラームス、マーラーも・・・)曲が後世に残らなかっただろうから、バッハの時代にピアノがなくて良かったと思う面もある。音楽ファンなんて勝手なものだ。

新しい楽器との出会いで出来た名曲とも言える。同時に第5番がなかったら、この曲は名曲として後世に残されていたかどうかは不安である。また、この曲があるから同じバッハの作品として「チェンバロ協奏曲」も注目をされている。色々な意味で後世の音楽家と音楽ファンに多大な影響を与えた楽曲だと言って良い。


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