TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

「カール・ロジャース入門-自分が自分になるということ」を読むその2

2010-08-02 07:05:19 | 今週の一冊
 読み終えた「カール・ロジャース入門-自分が自分になるということ」について以下のように思いました。



 カール・ロジャースの来談者中心療法が、なぜ日本に受け入れられたかがこの本に書かれています。至極納得しました。以下その箇所の引用です。

・私たち日本人の自然観・生命観と、ロジャースのそれとの間に多くの親近感があることは言うまでもないことでしょう。ロジャースの「実現化傾向」概念によれば、この世におけるすべての<いのち>あるものは、本来、自らに与えられた<いのちの働き>を発揮して、よりよく、より強く生きるように定められています。
 つまり、人間の自然治癒力・自己成長力を徹底的に信じるロジャースの思考の背景には、万物に<いのちの働き>を見て取るという多分にアニミズム的な感性が強く働いていたのです。日本という国で生まれて育つことによって知らず知らずのうちに、同様な感性を身につけていた私たちは、そのためにロジャースに親しみを覚え、何の抵抗もなくそれを受容して吸収していったのではないでしょうか。

ーそして、著者は、遠藤周作の小説に触れています。遠藤周作の小説は、キリスト教徒として、日本にフィットするキリストの変容をその骨子にしたものです。遠藤周作のキリスト教は罰する激しい父性のものでなく、慈愛に満ちたなんでも受けいれてくれる母性的なものです。
 著者は、遠藤周作のキリスト教はもはやキリスト教でなく、むしろ浄土真宗に近いものだと記載しています。しかし、そこに、私たち日本人の心を強烈に打つ真理があるのは確かであると記載しています。ー

 そして以下のように記載しています。以下引用です。

・これと同様に、日本的に受容され変容されたロジャースにも、やはり単に、米国産のオリジナルからの逸脱として否定されるだけではすまされない、何か本質的な真理が潜んでいるように思います。

 この本は、ロジャースを単に称賛するのでない本です。おもしろいです。