足利事件の犯人とされた菅谷利和さんの冤罪が確定し、十七年間ぶりに釈放されたニュースは他人事ならぬ恐ろしさを感じさせるものがあった。
警察権力がその気になれば人一人の自由を簡単に奪う事ができる。
戦後あれだけ、民主警察とか云っていた警察だが、取り調べにおける自白強要など戦前の警察と大して変わらない実態をまたもや浮き彫りにしたといえる。
この足利事件はマスメディアも大々的に取り上げ輿論を喚起し、栃木県警本部長が直接、菅谷さんに謝罪するに至ったが、実はあまり注目されていないが同様の例が現在進行形で存在する。
それが、今月号の月刊『WILL』でも取り上げられていた「高知白バイ事故」偽装工作疑惑だ。
この事故は2006年3月3日に起きた。
スクールバスの運転手だった片岡晴彦(55歳)さんはその日、高知県・仁淀川町立仁淀中学三年生の教員三人と生徒二十二人を乗せたバスを運転していた。
その日は三年生のお別れ遠足会で生徒たちが昼食をとった店の駐車場から国道に入る前、バスは一旦停止し、ゆっくり前進して再度停止し、右折の機をうかがっていた。
そこに、右側から白バイが猛スピードで突っ込んでくる。
バスには衝撃が走り、右側前部には破損した白バイが倒れ、運転していた交通機動隊員のY巡査長も横向きにたおれていた。
その後、Y隊員は死亡し、片岡さんは業務上過失致死容疑で逮捕され、取り調べもないまま八ヶ月が過ぎる。
逮捕されて八ヵ月後、高知地検で検事から
「急ブレーキをかけたバスが、一メートル近く白バイを引きずった。お前が右側を確認せずにバスを動かしたからや」
と無茶苦茶なことを告げられる。
片岡さんは「冗談じゃない。バスは完全に停まっていた」と反論。
無論、これが事実だ。
証言者もいる。
なによりバスに乗っていた全員が知っている事だし、その内の一人の女性教諭は
「バスの運転席の真後ろにいましたが、バスはまったく動いていなかった」
と証言している。
バスの真後ろに乗用車に乗り停止していた仁淀中学校長も
「停車居時間が長いので私はハンドブレーキも引いていた。バスはまったく動いていなかった。突然、前方右からすごい勢いで物体がバスの前に突っ込んだ」
と述べる。
ところが、検事は証拠写真を突き出してくる。
その写真にはバスの前輪の後ろにのびる黒いスリップ痕が写っていた。
動いていないのにスリップ痕がつくものか。絶対におかしい。
結論を先に書けばこれは完全なる捏造写真だった。
写真を分析した自動車事故鑑定人の石川和夫氏は
「タイヤ痕ならあるはずの溝の跡が一本もない。スリップ痕は路面の凸面だけに付くのに、へこんだ乙面にも染みわたるように色が付いている。液体を塗ったからです」
と警察の偽装工作と断定した。
だいたい、検察はバスは時速十キロで走っていたと主張していて、仮にそのスピードで急ブレーキをかけてもスリップ痕は残らない。
ところが、この警察の捏造を裁判所は「野次馬やマスコミがいる中での証拠偽装は不可能」(片多裁判官)として否定。
バスは停まっていたとの多くの証言も無視し、片岡さんに禁固一年四ヶ月の実刑判決を下した。
裁判所と警察がぐるであることが実によくわかる。
しかし、なぜ、警察はこのような事件をでっち上げたのか。
実はこの事故があった附近では以前から白バイの暴走が問題視されていた。
公道なのにサイレンも鳴らさず、百キロくらいで走り、たまにミニバイクなんかを捕まえて遊んでいる。(附近のガソリンスタンド店員の証言)
青信号で横断中に白バイにはねられそうになった人もいた。
今回のこの事故も白バイによる暴走運転の結果だったわけだが、この事故をじっくり検証すれば白バイが普段から暴走行為をやっていたことが明るみに出る。
ならば、と偽装工作をしてまで片岡さんを犯罪者にしてしまったわけだ。
こんな出鱈目な冤罪が通って、現在も片岡さんは刑務所に服役させられている。
足利事件は警察による過失の面が強いが、こちらの方は初めから冤罪を作ろうとして作った分、より悪質だ。
近代国家において絶対にあってはならないことで、こんなことなら中国を笑えない。
しかも、この重大冤罪事件を中央紙はほとんど報じていない。
地元紙、高知新聞も警察べったりの報道。
マスコミの体質がここにもよく出ている。
それが、左派に比べ警察に甘いと思われがちの右派の雑誌『WILL』が取り上げたことは心強い。
左派の雑誌やジャーナリズムももっとこの事件を取り上げて欲しい。
日本が軍国主義化しているとか自衛隊の暴走なんていう幻想よりも警察の暴走という現実の方がずっと怖い。
警察権力がその気になれば人一人の自由を簡単に奪う事ができる。
戦後あれだけ、民主警察とか云っていた警察だが、取り調べにおける自白強要など戦前の警察と大して変わらない実態をまたもや浮き彫りにしたといえる。
この足利事件はマスメディアも大々的に取り上げ輿論を喚起し、栃木県警本部長が直接、菅谷さんに謝罪するに至ったが、実はあまり注目されていないが同様の例が現在進行形で存在する。
それが、今月号の月刊『WILL』でも取り上げられていた「高知白バイ事故」偽装工作疑惑だ。
この事故は2006年3月3日に起きた。
スクールバスの運転手だった片岡晴彦(55歳)さんはその日、高知県・仁淀川町立仁淀中学三年生の教員三人と生徒二十二人を乗せたバスを運転していた。
その日は三年生のお別れ遠足会で生徒たちが昼食をとった店の駐車場から国道に入る前、バスは一旦停止し、ゆっくり前進して再度停止し、右折の機をうかがっていた。
そこに、右側から白バイが猛スピードで突っ込んでくる。
バスには衝撃が走り、右側前部には破損した白バイが倒れ、運転していた交通機動隊員のY巡査長も横向きにたおれていた。
その後、Y隊員は死亡し、片岡さんは業務上過失致死容疑で逮捕され、取り調べもないまま八ヶ月が過ぎる。
逮捕されて八ヵ月後、高知地検で検事から
「急ブレーキをかけたバスが、一メートル近く白バイを引きずった。お前が右側を確認せずにバスを動かしたからや」
と無茶苦茶なことを告げられる。
片岡さんは「冗談じゃない。バスは完全に停まっていた」と反論。
無論、これが事実だ。
証言者もいる。
なによりバスに乗っていた全員が知っている事だし、その内の一人の女性教諭は
「バスの運転席の真後ろにいましたが、バスはまったく動いていなかった」
と証言している。
バスの真後ろに乗用車に乗り停止していた仁淀中学校長も
「停車居時間が長いので私はハンドブレーキも引いていた。バスはまったく動いていなかった。突然、前方右からすごい勢いで物体がバスの前に突っ込んだ」
と述べる。
ところが、検事は証拠写真を突き出してくる。
その写真にはバスの前輪の後ろにのびる黒いスリップ痕が写っていた。
動いていないのにスリップ痕がつくものか。絶対におかしい。
結論を先に書けばこれは完全なる捏造写真だった。
写真を分析した自動車事故鑑定人の石川和夫氏は
「タイヤ痕ならあるはずの溝の跡が一本もない。スリップ痕は路面の凸面だけに付くのに、へこんだ乙面にも染みわたるように色が付いている。液体を塗ったからです」
と警察の偽装工作と断定した。
だいたい、検察はバスは時速十キロで走っていたと主張していて、仮にそのスピードで急ブレーキをかけてもスリップ痕は残らない。
ところが、この警察の捏造を裁判所は「野次馬やマスコミがいる中での証拠偽装は不可能」(片多裁判官)として否定。
バスは停まっていたとの多くの証言も無視し、片岡さんに禁固一年四ヶ月の実刑判決を下した。
裁判所と警察がぐるであることが実によくわかる。
しかし、なぜ、警察はこのような事件をでっち上げたのか。
実はこの事故があった附近では以前から白バイの暴走が問題視されていた。
公道なのにサイレンも鳴らさず、百キロくらいで走り、たまにミニバイクなんかを捕まえて遊んでいる。(附近のガソリンスタンド店員の証言)
青信号で横断中に白バイにはねられそうになった人もいた。
今回のこの事故も白バイによる暴走運転の結果だったわけだが、この事故をじっくり検証すれば白バイが普段から暴走行為をやっていたことが明るみに出る。
ならば、と偽装工作をしてまで片岡さんを犯罪者にしてしまったわけだ。
こんな出鱈目な冤罪が通って、現在も片岡さんは刑務所に服役させられている。
足利事件は警察による過失の面が強いが、こちらの方は初めから冤罪を作ろうとして作った分、より悪質だ。
近代国家において絶対にあってはならないことで、こんなことなら中国を笑えない。
しかも、この重大冤罪事件を中央紙はほとんど報じていない。
地元紙、高知新聞も警察べったりの報道。
マスコミの体質がここにもよく出ている。
それが、左派に比べ警察に甘いと思われがちの右派の雑誌『WILL』が取り上げたことは心強い。
左派の雑誌やジャーナリズムももっとこの事件を取り上げて欲しい。
日本が軍国主義化しているとか自衛隊の暴走なんていう幻想よりも警察の暴走という現実の方がずっと怖い。