あび卯月☆ぶろぐ

あび卯月のブログです。政治ネタ多し。
お気軽にコメントなさってください☆

パンクと右翼と左翼と

2008-05-06 02:27:25 | 政治・経済
雨宮処凛と佐高信の共著『貧困と愛国』を本屋で立ち読みした。
正確にいうと共著というより二人の対談本だ。

雨宮処凛はかつて右翼パンクバンドをやっていた人で一水会にも所属していた。
いまでは右翼を卒業してワーキングプアの問題に取り組んでいる。
佐高信は日本を代表する左翼評論家ですね。

本書の中で、驚くべきことに佐高は雨宮に「パンクってなんですか?」と訊ねている。
左翼なのにパンクという言葉を知らないなんて。
敢えて雨宮に説明をしてもらうために訊いたのではなく、本当に知らずに質問していた。
雨宮がパンクの概要を説明をしたあと、「日本ではスターリンが有名」と付け加えていたが、スターリン(勿論、バンドの方の)も佐高は知らない様子だった。
パンクとは元々、イギリスの労働者階級から興った音楽で、いわば、反体制の過激なロックだ。
英国パンクバンドのセックスピストルズはエリザベス女王に対して「女王陛下萬歳」と誉め殺したあとで「お前はお先真っ暗、未来なんて無い」と歌った。
日本のパンクバンド、スターリンの遠藤ミチロウは畏れ多くも天皇陛下(当時、昭和天皇)をサル呼ばわりして、「ヒロヒト、サル!!」以下、とてもとてもここには書けない過激で下品な内容の歌を歌った。
佐高センセイならそんなパンクをきっと知っていると思っていた。
でも、知らなかったなんて佐高センセイ、官僚を批判するわりには官僚的だなあ。
え、私ですか?
私は英国パンクも日本のパンクも大好きです。勿論、スターリンも。

もう一つ興味深かった箇所は、雨宮が今の日本には本当の右翼が居ないという文脈で、
本当の右翼なら「天皇陛下の赤子たる若者がワーキングプアやネットカフェ難民になっているのは安倍のせいだ」と云って安倍を殺しますよ、という旨の発言をしていたこと。
本当の右翼の定義を戦前の右翼とほぼ同一のものとするならばおそらく、その通りだと思う。
右翼も左翼も本来、反体制だ。
戦前の右翼は今よりずっと元気で首相を二人も暗殺しているし、政府要人財界人も随分と被害にあっている。(五・一五事件と二・二六事件の将校は右翼と定義してよいか微妙だから含めない)
明治の元勲、山縣有朋も右翼から攻撃を受けたことがある。
皇太子裕仁の外遊に反対した右翼は山縣の邸宅に乱入し、暗殺をほのめかす檄文を撒いた。
このとき、山縣はよほど腹に据えかねたのだろう。
警視庁に対して「こういうバカどもをお前たちが取り締まれぬというなら、陸軍を動かすぞ!」と叱責したという。
山縣らしい言葉だ。

そういう次第でとかく為政者に嫌われた右翼だが、戦後の右翼の多くは体制についてしまった。
というより、右翼の定義が曖昧になったというべきだろうか。
少なくとも右翼=体制側という印象を与えているならそれは右翼の堕落だろう。
左翼も反日の為にせっせと歴史を捏造したりいい加減にしてほしい。
これは私の幻想かもしれないが、戦前の右翼、左翼は真の愛国者であったように思う。