眠りに入る前
ベッドで目をつむっていると
いつも目蓋に浮かぶのは
山に入る
草深い細道だ
曲がりながら
暗い林に向かっていく
あれはどこの山だったろう
思い出しそうで思い出せない
思い出そうとしている時
じつはぼくはもう眠っていて
夢の中でその道を
見ているのだろうか
あの道はどこに続いているのだろう
本当に
頂きに登って行くのだろうか
それとも
どこか暗い淵にでも
下りていくのだろうか
それでも少しも恐ろしくはない
もしかしたら
眠ろうとしているつもりで
じつはぼくはもう死んでいるのじゃ
ないだろうか
それならそれで良いのだ
と思いながらまだ暗い夜明けに
意識を取り戻す