すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

飛行機

2020-06-29 09:42:33 | つぶやき
向こうの草原で
友人が飛行機を飛ばしている
遠く木立の間からでも彼とわかる
何年も会っていない友人だ
こんなところで会うなんて不思議だ

飛行機と言っても
竹ヒゴのフレームに紙を張った
割りばしの胴体の
ゴムをかけて飛ばすやつだ
むかし見せてもらったことがある

飛行機は急角度で夏空に上がり
ゆっくりと輪を描いて滑空して
ふわりと草の上に降りて来る

彼は少し足を曳いて歩み寄り
飛行機を点検し
主翼の反り具合やら尾翼の角度やらを少し直して
また真上に向けてゴムひもを引いて
飛行機を放つ
何度も何度も

遊びに夢中でぼくには気が付かない
近づいて行って話しかけるのは止そう
こっちの岩の上に座って見ているだけで
そしてそっと立ち去ろう

夜にでも電話をすればよい
昼間見かけたよ などとは言わず
久しぶりに会わないか とだけ言おう

受話器から懐かしいあの声が聞こえるだろうか

あれ 彼はもういないのだったっけ?

それとももういないのはぼくのほうか?
コメント
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