東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

障害者権利条約を批准

2014年01月28日 | インポート

日本政府は20日、障害者の差別禁止や社会参加を促す国連の障害者権利条約を批准した。政府は2012年に障害者総合支援法を、今年6月には障害者差別解消法を成立させるなど、批准に向けて国内法令を整備してきた。条約発効から5年余りでようやく日本の批准が実現した。2月19日から日本でも効力が生じる。

条約は2006年12月に国連総会で採択され、08年5月に発効した。「障害に基づくあらゆる差別」の禁止や、障害者の権利・尊厳を守ることをうたう。締結国は、公共施設を使いやすくするなど、さまざまな分野で対応を求められる。

Photo 吉川元偉・国連大使が20日、国連本部を訪れ、批准書を国連のビジャルパンド条約課長に手渡した。国連によると、日本の批准は世界141番目(欧州連合を含む)。中国や韓国などはすでに批准しており、吉川大使は「たいへん長い時間がかかってしまい、国際的に誇れることではないが、模範的な締約国となれるべく努力していきたい」と語った。

批准するために必要とされた障害者制度改革(障害者基本法の改正、障害者総合支援法の制定、障害者差別解消法の制定)については、障害を社会モデルとして定義する等評価される部分もあるが、差別解消の実効性等の課題が残されている。また、条文の「和訳」(日本政府公定訳)ではインクルーシブ教育を「障害者を包容するあらゆる段階の教育制度」としており、「包容」では障害者を権利の主体とされないことが懸念される。

また、この条約を日本が批准したことはもちろん、その内容も一般にはあまり知られていない。これでは、実効性が危ぶまれる。この条約の対象となる「障害者」の範囲は、一般の人が想定する範囲よりもはるかに広い。たとえば、「がんサバイバー(がんの急性期から復帰して寛解状態を維持している人)」や認知症患者にも及ぶ可能性を秘めている。すべての人に、関心を持ってもらいたい条約である。


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