第一章のりつ子は姑や小姑達にいじめられる可哀相な嫁として描かれていたので、計算高い第二章のりつ子は似た境遇で同じ名前の別人の話かと思ったら同じ女性の前日譚になっていた。
その後の展開に予想がつかなくなってモヤモヤしながら第三章に入ると、それまでの話はもうほとんど関係なくなってりつ子と双子の子供たちの物語になっていく。
宗教にのめり込むようなお受験をはじめとするりつ子の教育に応える兄倫太郎と、ついて行けないながら必死に頑張る妹星良。
理不尽な母に対して、けなげな星良が可哀相でならない。
最後に星良が鮮やかに逆転するけれど、単純にスカッとする展開ではない。
ラストの一行はどういうことなのかな?
皮肉が効いて面白いけれど、りつ子は絶対自分が毒母とは思っていない。
2017.10.20
新潮社