『白々と明け行く中で見た夢は今はまぼろし古びた生家』
『夢見たり囲炉裏の鍋に箱の膳板の間に座す親子三代』
『板の間に吊るし干された味噌玉の煤にまみれし割れの深さよ』
『囲炉裏端大根幾重に吊り下がる触れて握れば温き柔らか』
『温布団夢か現か我が目には古き生家の囲炉裏のトロ火』
『雪原に黒く口開く川岸のネコヤナギ折る凍み渡りの朝』