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今日の筆洗

2019年10月27日 | Weblog
  失敗が偶然によって思わぬ大発見や成功につながるということはよくある。インドを目指したバルトロメウ・ディアスは嵐に巻き込まれ、引き返す途中、アフリカ大陸の喜望峰を発見したし、コカ・コーラは痛み止めシロップを作ろうとして失敗した結果、生まれたと聞く。災い転じて福となす。結果オーライ。こういう話は聞いていて勇気づけられる▼国内では唯一、駿河湾で水揚げされるサクラエビにもそんな逸話があるらしい。歴史は意外と浅い。一八九四(明治二十七)年十一月のある夜。静岡県由比町(現・静岡市)の漁師がアジ漁に出た▼いざ操業という段になってカンタと呼ぶ網につける浮きを忘れてきてしまったことに気づく。今さら戻るわけにはいかない▼しかたなく、その夜はカンタなしで網を入れたところ、思いがけずサクラエビの大漁に恵まれた。いつもより深い場所に網が入ったためらしい。以来この漁法が定着し、盛んになっていく▼幸運で発見された漁の行く末が心配である。サクラエビの深刻な不漁が続く。秋漁が二年ぶりに解禁されたが、体長制限付きの漁でもあり、取れ高はあまり期待できないだろう。地元の水産加工業者には廃業も検討せざるを得ないという寂しい声が出る▼<さくらえび由比蒲原の小春かも>和田祥子。不漁という「災」をもう一度、「福」へと転じさせる手はないものか。

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