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今日の筆洗

2023年01月07日 | Weblog

アリスの『チャンピオン』は昭和のヒット曲。メンバーの谷村新司さんが作詞・作曲した。盛りを過ぎたボクシング王者が若き挑戦者に屈する哀(かな)しみを歌う▼詞は「立ち上がれ もう一度その足で 立ち上がれ 命の炎を燃やせ」と敢闘を祈るも敵は冷酷だった。「獣のように 挑戦者は おそいかかる 若い力で」。カラオケでは特に、ある世代以上の男性が好んで歌う印象がある▼話はボクシングでなく将棋。歌詞とは老若が逆だが、若きチャンピオンと年上の挑戦者が戦う。藤井聡太王将(20)=竜王・王位・叡王・棋聖=に、羽生善治九段(52)が挑む王将戦があす静岡・掛川で始まる▼ある本には「棋士のピークは二十五歳くらい」とあった。その年齢で当時の七冠独占を果たし、長く一線で戦った羽生さんも二〇一八年に無冠に。負けが先行する低迷も経験したが立て直し、王将戦挑戦権を得た。社会では既にベテランの「アリス熱唱世代」には今回、挑戦者びいきが多い気がする▼かの曲のモデルは元東洋王者カシアス内藤さん。王座を失いやがてリングを去るが、約四年のブランクを経て三十歳目前で復帰し、王座に挑むも散る。ジム訪問の機会を得た谷村さんが見たのは、復帰のころの猛練習だった▼何かを取り戻そうともがく姿は、王将に挑む人の相似。盤を挟んで受けて立つ若人ともども、命の炎を燃やすのだろう。


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