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今日の筆洗

2024年06月11日 | Weblog
 「加賀様の氷」とは江戸の昔に加賀藩が将軍家に献上した氷のことで、その儀式は毎年、旧暦の6月1日に行われた。冬の間、金沢で貯蔵した雪を氷献上のため、江戸まで運んだ。氷を溶かさぬよう500キロもの距離を4日ほどで運んだというから飛脚も大変だっただろう▼余った氷は町家にも分けられ、藩邸には大勢の人が氷を求めて行列を作ったそうだ。そのころには氷もかなり溶けていただろうが、人々はひとときの涼を味わったか▼加賀様ではなくベネズエラの氷の話となる。こちらの「溶解」は深刻である。ベネズエラのシエラネバダ・デ・メリダ山脈にあったフンボルト氷河が消えてしまったそうだ▼熱帯のベネズエラで、氷河とは不思議に聞こえるか。高い山に形成される山岳氷河で、同国にはかつて六つの山岳氷河が存在し、フンボルト氷河が最後の一つになっていた▼最近の調査で、もはや氷河とは呼べないほど小さくなっているのが確認された。ベネズエラはこれですべての氷河を失ったことになる▼いうまでもなく、消滅の背景は地球温暖化で、専門家によるとインドネシアやメキシコなどの山岳氷河にも消滅の危機が迫っているそうだ。地球の気温が上昇する中、フンボルト氷河の融解は予想よりはるかに速いペースで進んでしまった。欲しいのは氷を溶かさない「加賀飛脚」のスピードを持った対策である。
 
 

 


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