東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2024年04月03日 | Weblog
 「娘をクビにしてください」-。あるお母さん。娘が入ったばかりの会社にこんな手紙を出したそうだ。『となりの芝生』などの脚本家、橋田寿賀子さんのお母さんである。子どもの解雇を願い出る母親とは珍しい▼橋田さんは1950年、難関を突破し、松竹の脚本部に入った。ところが、お母さんが会社を気に入らない。「映画なんてやくざな世界」。橋田さんは会社側に母親の手紙を真に受けないよう頼み込んだという▼橋田さんのお母さんも入社式に参加していればこんな騒動も起きなかったかもしれぬ。新社会人がまぶしく見えるシーズンとなったが、最近の入社式は「親の同伴」が決して珍しいことではないそうだ▼ひと昔前なら奇妙な話に聞こえたが、企業側にも事情がある。大卒の新入社員のおよそ3人に1人が3年以内に会社を辞める時代といえど会社としてはせっかく採用した社員を失いたくない。入社式などで親に会社の良さを訴え、本人が退社に傾いた際に「引きとめ役」になってもらおうという狙いがあるらしい。「まず親を射よ」か▼先週、早稲田界隈(かいわい)でスーツやはかま姿の卒業生を大勢見かけた。親が入社式に出席しようとしまいとこれから山あり谷ありの道が彼らに待つ▼「どんな苦難であっても必ずや人生において意味がある」。岸田首相の新社会人に向けた言葉だそうだ。珍しく意見が合った。