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今日の筆洗

2022年03月19日 | Weblog
昨夏の東京五輪柔道女子48キロ級三位決定戦。ウクライナのダリア・ビロディド選手は、イスラエルの選手に勝って銅メダル獲得を決めると涙を流した▼テレビで見た表情からは、悔し涙と受け取れた。ほしかったメダルは別の色。銀メダルの日本の渡名喜風南(となきふうな)選手に準決勝で敗れた。ビロディド選手が過去四勝一敗で身長も二十四センチ高く、有利とみられた。だが、延長に持ち込まれ消耗戦に。技を放った後に逆襲され、抑えこまれた▼その銅メダリストが母国の戦火を逃れ、スペインに着いた。共同通信によると、キエフ近郊の自宅から柔道着も持参し、避難先のクラブで練習している▼ロシアの柔道家・プーチン大統領が軍に命じたウクライナ侵攻。ビロディド選手は自宅から約二百メートルの所の爆発音を聞き、「怖くて泣き始めた」という。柔道関係者が避難に協力してくれた。「温かい気持ちになった」と感謝している▼ロシア研究者の木村汎(ひろし)氏の著書「プーチン 人間的考察」によると、プーチン氏が少年時代に柔道を始めたのは小柄だったゆえ。相手の技の仕掛けを待ち、その体重移動に乗じて反撃するなど、工夫次第で大きな相手に勝てる競技にひかれた▼体格で勝るビロディド選手を相手に渡名喜選手も示した「柔よく剛を制す」。物量で勝る敵に対し待ち伏せ攻撃で粘るウクライナ軍も、それを証明する気かもしれない。