東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2022年03月25日 | Weblog

ロシアが生んだチャイコフスキーの序曲「1812年」は、ナポレオンが率いるフランス軍を撃退した帝政ロシアをたたえる▼フランス国歌「ラマルセイエーズ」や帝政ロシア国歌の旋律も使う。モスクワで開くイベントのためにと依頼されて作ったが、知人への手紙に「何か祝典のために作曲するほど気乗りのしないことはありません」と書いている。生活のために受けた仕事のようだ。音楽之友社の名曲解説に教わった▼入魂の作ではないかもしれないが、最近ニュースで取り上げられている。ロシアがウクライナに侵攻するなか、ロシアの戦勝を祝う曲は不適切として演奏をとりやめるコンサートが相次ぐ。先日も九州交響楽団が秋の演奏会での曲目変更を発表した▼生前のチャイコフスキーはよく、妹が嫁いだウクライナのまちを訪れた。散歩をし、人々が歌うウクライナ民謡に触れ、それを取り入れた交響曲も作った。「白鳥の湖」も、妹の子たちのために作った短編バレエが骨子になったという。結婚の失敗など、孤独でもあった作曲家。ウクライナは人のぬくもりを感じられる所だったようだ▼没後に帝政が倒れ、ソ連時代になると、序曲「1812年」の帝政ロシア国歌の部分が別のメロディーに替えられたことはクラシックファンに知られる。権力の変動に伴う改変▼天国の巨匠も政治に言いたいことは多々あろう。