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今日の筆洗

2021年12月06日 | Weblog

犬を登場させた、小説やエッセーは数々あるが、太宰治の短編「畜犬談」に泣かされる愛犬家は少なくなかろう。拾った犬がひどい皮膚病にかかる。犬の命が軽い時代のことで、妻の求めにやむなく、家から離れた場所に毒入りの牛肉を置き、そのまま捨ててくる▼暗い気持ちで主人公は帰るが、気が付くとどういうわけか、その犬がついてくる。毒が効かなかったらしい。主人公は妻を説得する。「許してやろうよ。あいつには、罪が無かったんだぜ。芸術家は、もともと弱い者の味方だった筈(はず)なんだ」−▼フランスでは二〇二四年からペットショップで犬や猫を販売することを禁止するそうだ。衝動買いを防ぐのが狙いという。なるほど、かわいい目で見つめられると家に連れて帰りたくなるものだが、その後で犬を飼うことの大変さを知り、捨ててしまうケースが多いらしい▼夜鳴きもすれば、いたずらもする。元気ならまだしも病気にもなる。弱い者を最後まで守る覚悟がなければ、犬を飼うのはお勧めできぬ▼参考までに十二歳の犬の話をする。神経系に問題があり、自力では立つのも難しい。体重は三〇キロを超え、病院通いもひと苦労である▼おもらしもする。その度に拭いてやるのだが、家中がどうしたってにおう。それでも穏やかな寝顔を見ていれば、そんなことはたいした問題ではないとも思えてくるのではあるが。