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今日の筆洗

2015年12月30日 | Weblog

 仕事納めも過ぎると町ではぐっと年末の匂いが濃くなる▼門松を飾ったお宅も増えてきた。なるほど。苦につながる、「九立て」の二十九日を避けて、その前日に飾ったか。こういうことが今もきちんと守られているのが微笑(ほほえ)ましい。ちょっと落ち着きもする▼通勤電車はすいているが、駅には大きな荷物を携えた方が大勢いらっしゃる。帰省ラッシュが始まった。「家族が一人増えたので、実家の家族に見せたい」。テレビのインタビューで若いお母さんが答えていた。それだけのニュースにホッとする。正直にいえば、ちょっと目を潤ませたりもする▼超少子化や独居世帯という言葉がもはや大きな話題にさえならぬ時代にあってもちゃんと帰省ラッシュが起きている。故郷へ帰りたい、親に会いたいという心のラッシュが起きている▼この時期に思い出す、古い広告がある。「思い立った日が、父の日、母の日になる。」(JR九州)。コピーライターの赤石正人さんの作品で、続きがある。年に一回、四、五日帰省するとして、十年で四、五十日。<十年で一緒に過ごす時間がたった二カ月…>。旅行鞄(かばん)を探したくなる▼帰る場所がある。会える人がいる。限られた幸せを堪能していただきたい。<叱らるゝ人うらやましとしの暮>一茶。思い立っても、父の日、母の日とはならない人もいる。お気をつけて、帰省の旅を。