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オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

「西一族と巧」11

2020年02月14日 | T.B.1996年
「巧ー!!」

 巧の姿を見付け、向が手を振る。

「お疲れー!」

 横に、華もいる。

「巧、何も買わなかったの?」
「お前みたいに、あれこれ買うわけないだろう?」
「何よ、向だって、いろいろ買っているじゃない」
「これは、必要なもの!」
「私のだって、必要なものよ!」

 向と華の手には、買ったものが。

「とりあえず、飯行こう!」
「そうね、お腹がすいた」
「あちらの店で、北一族料理を出してるところがあったぞ」
「じゃあ、そこに行こう」
「食べながら、私が買ったもの聞いてね」

 3人は、店に入る。

 席に坐り、食事を注文する。

 北一族の料理。

 食事時と云うこともあり、店内は混んでいる。

「私ね、これ買ったんだ!」

 待てない華が、話し出す。

「ほら、髪飾り。みんなへのおみやげ! この砂糖菓子もね」
「ふぅん」
「これ、スコップ。かわいいでしょ。こっちは小さい鉢。かわいい!」
「相変わらず、園芸品じゃん」
「だって、好きなんだもの。花!!」

 華は、何かを取り出す。

「よく育つ肥料!!」
「おいおい、こんなところでそんなもの出すな!」
「砂一族製だって! 効果ありそうじゃない?」
「むしろ、不安……」
「いろいろ買えたんだな、華」
「そうなのよ、巧!」

 華が云う。

「あと、帰りに花の苗買っていい!?」
「いいよ」
「おい、巧。運ぶの手伝えってことだぞ、これ!」
「いいじゃない」

 華は、向の荷物を見る。

「で、向は何を買ったの?」

「俺は肉を捌くのに使えそうな小刀! 狩り場用な」
「へえ、帰ったら見せてほしい」
「もちろん!」
「こっちはおもしろいぞ」

 向が取り出す。

「それは!」
「……何?」
「ここを押すと、人が笑う声が!」

 あひゃひゃひゃひゃひゃ

「…………」
「…………」
「……で?」

「終わり」

「…………」
「…………」

「まじか、向」
「ばかなの、向」

 あひゃひゃひゃひゃひゃ

 以上です。

「ところで……」

 肉をほおばりながら、華が訊く。

「巧はなぜ、北一族の村に来たかったの?」
「あー、確かに」
 向も云う。
「何も買ってないみたいだしな」
「俺は、……」

 向と華は、巧を見る。

「気分転換」

「気分?」
「転換?」

 少し考える。
 占い、何て、云えることではない。

「ほら、狩りが続くと疲れるし、さ」

「……ふうん」
「へえ」

 ふたりは不思議そうな顔をする、が
 巧は、話題を変える。

「それで、今度の狩りだけど」

 3人は話をし、笑いながら、食事を続ける。




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