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メカデザイナー山本薫のBlogです~2006・11・30 お仕事募集中 sp2q6z79@polka.ocn.ne.jp

 イカリエ XB 1

2018-11-07 01:47:55 | 日記・エッセイ・コラム
画像はイメージです。

 SF映画「2001年宇宙の旅」の元になったのではないかと言われるSF映画が今年の5月
某所で上映されたそうです。私はこの映画に関する予備知識が全くなく、そんな映画が
あったのかと言うのがつい数か月前での認識でした。
 まずネットでキーワードを使って検索し、予告編や一部の断片の映像を見つけました。
また20分ほどのシークエンスを切りと取った動画も見つけ、大体の雰囲気は把握でき
ました。同時に有名な古典SF映画「火を噴く惑星(1961)」の全編動画を見つけたので視
聴しましたが、この頃の共産圏のSFはレベルが高く、参考にした後世の作品も多いので
はと感じました。
 イカリエXB1は、1963年チェコスロバキア制作のモノクロ映画で、宇宙船内を舞台とし
た外宇宙への探査を描いています。当時の他のSF作品によくある古典的な描写が多いの
ですが、言われてみれば70年代のSFに影響があると思えるシーンが散見されました。そ
れで興味を覚え映像ソフトを入手できないか探してみました。



 ネットでDVDソフトを探した分には、まだ国内で発売されておらず邦題も不明でした。
そこで海外にまで範囲を広げた所、アマゾンで中古のDVDソフトを見つけ、視聴可能であ
ると言う所まで分かりました。DVDにはリージョンコードという設定があり、国と地域に
よって国際的な区分があって視聴できる範囲が決まっているので注意が必要です。
 幸いそのDVDはリージョンフリーとなっており、どの国でも視聴できるものだったので
試しに購入してみることにしました。(ちなみにリージョンフリーの再生デッキという物
もあります。)
 外国からの郵便なので住所の入力に制限があり少し苦労しましたが、料金はコンビニ
からの支払いに対応していたので買う事が出来ました。到着まで2週間くらいを見ていた
のですが、仮に送られてこなかったり不良品だったとしてもクレームの付けようがありま
せん。そこで来なくて当たり前といった感じで気長に構えることにしていました。
 本当にDVDが届いて、パソコンで視聴できた時には正直なところ驚きました。映画その物
よりも購入して視聴する過程がまるでSFの出来事で、面白い経験ができました。
 ただし、このソフトのセリフは東欧の言葉でほとんど理解できず、英語の字幕である程
度意味が分かるだけで理解不能な部分も多々あったことをお断りしておきます。
 DVDのパッケージはシンプルでしたが20ページの小冊子(英語)が付属しており、映像
特典として解説者の談話が収録されていました。もう5年くらいたてばこれらを和訳する
方法もできるかもしれません。



 舞台が宇宙船内なので、ほとんどがセット内での撮影ですが一部だけどこかの施設内の
構造物でのロケがあります。他はミニチュア特撮による宇宙船のシーンでこうした部分は
後の宇宙船を舞台としたSFとほとんど変わっていません。しかし東欧のSFには後の欧米SF
のようなマニアっぽい所よりも科学で拓かれた一般社会が現実の物として捉えられている
部分があり、それが2001年宇宙の旅との大きな共通点であるように感じました。
 そうした部分の一番大きな所は登場人物がステレオタイプなキャラクターではなく、人
間的な造詣を感じさせるリアリティーを持っている所にあると思います。
 次に宇宙での生活を描写した部分で、宇宙食やテレビ電話のシーンもあったのですが、
これらは両作品の共通点と言うより、SF映画ではありきたりの描写であると思えます。
 ラスト近くに確かに影響があったと思われる部分がありましたが、2001年の方はそれを
物語の構造にしっかり組み込んでいて、ただの模倣で終わっていないことが分かりました。
つまり「キューブリックがこの映画を見逃していたとは言わせない。」というキャッチフ
レーズの元がその部分なわけです。



 全般的に言って、後のソビエト映画「惑星ソラリス(1972)」の方が影響が大きい印象
があったのは俳優の演技が良く似ていたせいかもしれません。ソラリスのラストの印象的
な場面はソビエト・イタリア合作による「レッド・テント(1970)」の空撮場面から影響
を受けたと考えられ、様々な映像作品を参考にしていたことが伺われます。
 ソラリスの撮影時に日本ロケがあったのは有名な話で、首都高を走行する映像が未来都
市の場面として5分間にわたって流れます。そう遠くない未来に、この場面の様に自動運転
の乗用車が赤坂見附付近を走り回るのももう夢ではなくなってきました。
 2001年宇宙の旅にしても惑星ソラリスにしても、その当時の映像や情報の影響を受けた上
で新しい部分を加味して出来上がっていたという印象はますます強くなりました。
 自分としてはこうした姿勢を見習いつつ、何か新しい次代に残るような創造をしたいと
考えています。


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