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メカデザイナー山本薫のBlogです~2006・11・30 お仕事募集中 sp2q6z79@polka.ocn.ne.jp

 AI作画について

2022-10-12 19:50:28 | 同人誌
    

 ここ1週間ほど、ネット上の各所をAIによるキャラクターの作画が賑わせています。
このムーブメントは今までの創作界隈に深刻な影響を与えるのではないかと思われたので
取り上げることにしました。
 問題を醸しているAI作画はアプリの一種で、本当の意味での画像の創出ではありません。
ディープラーニングというネット上での自動情報収集(この場合は画像検索)と組み合わ
せて、オペレーターの指示した文言に合わせた合成画像を作成するソフトです。それ故、
この画像には著作権はなく、その画像が存在すると言う一点が意味を持ちます。また、自
分の望む画像を描かせるには多少のノウハウが必要で、ここでオペレーションの優劣が生
まれています。

    

 私がこの手のAI作画に出会ったのは数年前で、その時は動画でした。草むらの中を歩ん
で行く動画でしたが、次第に目のような模様が浮き出してきて気味の悪い異世界に変貌す
るという物でした。この動画には他にもバリエーションがあって、いずれもホラーな感じ
の風景動画でしたが、明らかに人間技では不可能で、この先の発展を感じさせたのです。
 スマートフォンなどでは二人の顔写真を無段階につないで変形させるアプリ等がありま
したから、この手の作業がAIによってできることは誰もが知っていたと思います。

    
 
 その後、今から数カ月前には前述のAI作画のベータ版とも言えるソフトが出回りました。
出来上がった画像はお世辞にも良い物とは言えず、デッサンが狂っていたり、この世の物
とは思えない生物の絵が出来上がるので、一部の人以外には話題のネタ程度の受け取られ
方をしました。しかし、これらのソフトは有志の手によって日々改良を重ねており、遂に
人が修正を指示する事によって、まともな画像を作り出す事が可能になったのです。
 一旦、実用に耐えるまともな画像が作れると分かれば、その拡散は爆発的でした。AI作
画による画集を作り販売する者も表れ、今やデータ販売による同人誌書店を埋め尽くす勢
いです。絵が描けない人でもAIに指示を出せばそれなりの画像が『描ける』時代になった
のですから、皆こぞってやり始めたのも無理はありません。

    

 問題は、その後にあります。
 一部の掲示板ではAI絵の添付を禁止したと言います。ともかくその物量がすごいので、
情報の容量がパンクする事態となった訳ですが、かように手軽に作画が出来る上に今まで
受けてだった人が手軽に画像を作り出せるわけですから、そのうっぷんを晴らすがごとく
の勢いがあります。冗談抜きで絵描きの人数が1000倍になったと考えても差し支えない状
態になったと言えます。
 また、今まで手作業で作画していた本当の意味での絵描きの中には、自分の画像がこれ
らの合成画像に使われることに不快感を表明している人がいます。画像検索に引っかかっ
た自分の画像がAIの手で他の画像と合成されるわけで、顔だけすげ変わった状態だったり
するのです。しかも誰かの手でその画像がオリジナルの絵を描いた人に送り付けられると
言う笑えない事態になっています。本人が止めてくれと言ったところで、画像検索に自分
の絵がかからない様にする以外に根本的解決法はないのです。
 これらのAI絵には前述の通り著作権がなく、その画集を販売して小銭を稼ごうとする輩
の動きも問題になっています。どこかにAIによる作画であると明示して置けば、それと知
ったうえで買うのですから問題はないかもしれませんが、これはオリジナルの絵の著作権
とも関わってくる問題と言えます。

 これらのムーブメントは今後数カ月で急速にピークを迎えた後、実際に著作物に関わる
規制や法整備が打ち出されて安定期に入ると見られますが、それまでの間の混乱は避けら
れないと私は考えています。同人誌イベントも対応に追われるのではないかと考えられま
す。排斥とか区別とかAI作画の明示とか、様々な規制は必須だと思います。
 ここ数日の動きを見て、私個人は70年代から80年代における同人誌ムーブメントを思い
出しています。当時はプロの商業活動だった漫画やアニメや特撮といったメディアを、同
人の名の元に非商業的な創作として一般に広げて行ったオタクの第一・第二世代の活動と
現在の流れが近似しているように感じるのです。その後、同人誌販売は一つの産業と化し
た流れがあり、著作権との折り合いは現在まで続く問題となっています。やはりAI作画も
そう言った問題をはらんでいると言わざるを得ないと思うのです。
 同人市場では、そこからプロへ行く作家を輩出したり、新しいムーブメントを生み出す
土壌となって世界的な広がりを作って行きました。AI作画に関してもそうした波を作る可
能性が十分にあり、決して無視できない動きであることは確かです。一つ言えることは、
それはやはり道具に過ぎないのではないかと言う点です。結局はそれをよりよく使う者が
本道として生き残って行き、違法不法な使い方をする物はその周辺に一定数残るのです。

    

 場合によっては僕もこのAI作画について、試してみたいと思っています。しかし、自身
が絵を描けるのですから、その使い方も試行錯誤して上手く使えるまで発表は差し控える
事になるでしょう。それはAI作画が著作権との関わりを無視しては成り立たない手法だか
らです。
 AIと人間との共存は今後急速に発展して、直ぐにシンギュラリティ-が控えています。
AIが人間を上回ったらどうしたらよいのか?それが同人界隈以外でも直近の課題となると
思えます。

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 先週、自転車の前輪を手に入れることが出来たので整備を始めています。しかし天候が
思わしくなく、もう少し安定してから交換という事になりそうです。入手できたのは車輪
のみなので、旧タイヤとチューブを移植する必要があります。
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