自然を愛して

田舎暮らし

伊東深水展

2012-02-26 16:13:59 | Weblog
          
         美術館の垂れ幕 (作品 晴日)
1月2日~2月13日まで島根県立美術館で開催されました伊東深水展に2月11日に行ってきました。
何かと忙しくして諦めようとしましたが、初期の作品、代表作の大作、版画、スケッチなど約100点が
展示されると知ると雪の降らないギャラリートーク(学芸員による作品説明)のある日を選び出かけました。
伊東深水(1898~1972年)は美人画家で朝丘雪路の父であると言うことを知っているくらいで作品はあまり観てなくて
足立美術館、山種美術館の図録で作品を知るくらいです。学芸員さんの説明によりますと華やかな健康的な女性像を
描く画家と知られ、優れた足跡を残した近代を代表する日本画家だそうです。
13歳で鏑木清方に入門、夜学に行くため月謝を免除してくださった師に恩を応えるため夢中で絵筆を運んだそうです。
理想化された美人女性像を描くばかりでなく、同時代の社会で多様化する女性像を真正面から捉えようと挑み続けたそうです。
それを物語る作品が多数あり充実した一日でした。

好きな作品
◆椿(1920年制作)
藪の中の様子を低い目線で切り取り、差し込む光の存在を一輪だけ咲いた赤い花や、煌く小川の流れを点描で表されています。
墨のタッチによる雪や幹の質感や陰への群青を使用した手法が印象的でした。(六曲屏風)
◆指(1922年制作)
当時から話題を呼んだ美人画家としての出世作です。切手の原画にも用いられ、お馴染みの方も多いと思います。
指輪を見つめる至福の表情や所作には、新妻の一面が捉えられています。
肢体は黒の薄物を透かす濃淡に存在感を与えられとても魅力を感じます。
鼻緒の青色や腰紐の赤の色遣いは、細部にまで行き届き創作上の冴えを感じさせているそうです。
◆鏡獅子(1934年制作)
六代目尾上菊五郎による「春興鏡獅子」に感動して制作された作品。
大奥の正月鏡開きの日に舞を披露する腰元弥生が名匠の魂をこもる獅子頭の魔力にとり憑かれそうになりながらも
逃げようとする葛藤の場面を描いています。
獅子頭を持つ右手があんなに頭上に挙げるはずはないのですが、鬼気にひかれまいとしている女の気持ちを
出すために描かれています。裾の翻っているのもリズカルな感動を持たせるための手段だそうです。
着物の地色、蘭の花模様が上品で好きです。
◆海風(1942年制作)
風を受けて浜辺に立つ美人の姿が仏像を思わせます。仏画の品格や清浄さがあり、どっしりと踏みしめた脚の安定感や
仏像の手足の童子を思わせるふくらみなど、仏画から学ぶところが多く、顔は月のように朗らかで、身体は艶満の中に
気高い強さがあるそうです。今までの美人画と違った感じを受けました。
◆吹雪(1946年制作)
上村松園の作品「雪」に傘をさした上半身の美人画がありますが、傘の開き方、着物の色、模様など異なり、
顔の輪郭など表情に変化があります。上村松園展は行ったことがありますので思い出しました。
浮世絵以来このテーマはしばしば用いられてきたそうです。
◆黒いドレス(1956年制作))
モデルはデザイナーであり、服飾評論家の大内順子の大学生在学中に描いた作品です。
単純化された壁や床、椅子のフォリムに色を彩るのは陰影を無視した大胆な色面ですが、描線の太さのみで
奥行きを感じさせています。日本画ではあまりない描き方ですが、人物のもつ雰囲気は存分に伝ってくるそうです。
私も理知的なモデルがすぐ判りました。

宍道湖の景色
宍道湖の東南側に位置する県立美術館は湖畔から眺める景色は四季折々楽しむことができます。
現代的な建物の西側は全面ガラス張りで、ロビーから宍道湖の対岸や芝生にあるオブジェなど眺めることが出来ます。
特に美しい夕日は最高です。「日本の夕陽100選」に選ばれています。建物外に出て風に当たりながら過ごす時間も
幸せを感じるひとときです。
当日はみぞれが時々降るお天気でしたが、遠方にカモの大群を見ることが出来ました。

            島根県立美術館                           嫁ケ島
  
  
            ロビーより撮影                           宍道湖のカモ


島根県立美術館で開催されている展覧会
       
        くらしとデザイン
 『暮らしの手帖』花森安冶の世界(2月24日(金)~4月9日(月)












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