自然を愛して

田舎暮らし

映画鑑賞『日日是好日』

2019-02-16 15:51:42 | Weblog
映画鑑賞『日日是好日』
2018年10月に上映された『日日是好日』を鑑賞しました。
『日日是好日』は好きな言葉で我が家の和室にも額を飾っています。
そしてお茶は若い頃、礼儀作法として少々習っていましたので興味がありました。

スタッフ 監督 大森立嗣 原作 森下典子
キャスト 主人公典子(黒木華) 茶道の先生武田先生(樹木希林)
典子の父(鶴見辰吾)
茶道の仲間 
従妹美智子(多部未華子)武田先生の親戚の雪野(鶴田真由)
田所(原田麻由)早苗(川村紗也)女子高校生ひとみ(山下美月)

原作者が約25年間にわたって自宅近くの茶道教室に通った日々を綴ったエッセイを映画化されたものです。
お茶を通じて繰り広げる“精神の大冒険”をかけがえのない今を生きていく模様を映し出していました。

典子は就職、失恋、大切な人の死(父)などを経てお茶や人生における大事なことに気がついていきます。
茶室の小さな空間で武田先生の指導は柔らかい優しい言葉の中から様々のことを教えられ勉強になります。
学生時代の典子と従妹の美智子のコンビが良く、そしてお茶の仲間の会話も若い人には興味が湧くでしょう

お茶をテーマにした映画ですので難いと思いましたが笑いもありました。
最初のお稽古の帛紗(ふくさ)さばきのとき、映画館の会場ではクスクスと笑う声もしましたが多分経験がある人だと
思いました。私もそうでしたから・・・
もう一つ笑いがあったのは「大寄せ」の茶会の場面です。しとやかに着物を着かざった女性たちは席順を決めるとき
グループの中で一人あまり一緒の席に就けないからと強引に割りこまれたときの小母様の凄さです。
「正客」「次客」の席を決めるときは知識も経験も豊富のある人を薦めますが遠慮して辞退する方が多くその場面も面白いです。
正客は最初に亭主のごあいさつを受けますが、お客様の前でお道具について
「掛け軸」茶道具の「作者名」「銘」「箱書き」「花押」を尋ねますので大変です。
3番目からは生徒さんが運ばれたお茶を各々の人が薄茶を飲み始め、終わるとお茶碗を手で触りよく拝見します。
全員が飲み終わると全員で扇子を前に置きお辞儀をしてほっとします。お茶会は奥が深く色々と学べます。
若い頃、お茶会は市の文化祭で開催され、着物を着て親友や妹と行きましたが席はいつも緊張しながら楽な位置を選びました。

この映画で心に残ることは作者が“五感で自然とつながること”を全身でその瞬間を味わい喜びを感じられたことです。
五感とは
●聴覚(耳)
梅雨の雨音パラパラパラパラ・・・大粒の雨が葉を打っている、ポツポツポツポツ・・・元気に雨をはね返している場面
露の雨「ザァーザァーザァー瀧のような音、屋根から流れ落ちた雨がダダダダと軒を打つ雨・・・
つくばいのチョロチョロチョロチョロチョロ・・・せせらぎの水音、
茶室の中では、お釜の水が「し、し、し、し」と低く静かになり続け、お湯が煮えたぎると「ヒュー」となる
「松風」の音を聞くと心が休まります。
●触覚 (目)
茶器、水指(みずさし)、杓(ひしゃく)茶杓(ちゃしゃく)茶筅(ちゃせん)
棗(なつめ)、こぼし(建水とも言います) 四方棚(よほうだな)、花器 
庭から採った花は茶花として床の間に活けてありました。
掛け軸
お茶室に入ったらまず床の間の掛け軸を見ますが、武田先生はその日にあう掛け軸を掛け、その度に説明をなさっていました。
その中で「瀧」「達磨大師の画」が好きです。
●臭覚(鼻)
 お茶の香り、青いイグサ、炭の匂い 水辺の匂い、土の匂い、お湯の匂い
●味覚(口) 
懐石料理、生菓子、干菓子季節に合わせて銘菓を選んでおられました。
お茶(薄茶、濃茶)


帰宅してから、四季折々の庭の植物、雨の音の凄さをもう一度聞きたくて、そして、茶花、茶道具、美しい着物
はっきり覚えてない掛け軸も見たくて1週間後に出雲に行き2回鑑賞しました。

2回目に観たとき、典子さんの父親が亡くなってから武田先生と会話される場面でしんみりとした表情の樹木希林さんの姿が
心に深く残りました。
全身癌で亡くなられた直前の最後の演技だそうですが、心の強さに私は涙を流し映画館を後にしました。

立春後の庭

                  水仙                                       山茶花

                  梅                              ふきのとう 

風に吹かれながら揺れる梅、山茶花、香り高い水仙、苦みのあるふきのとうを味わい、しとしとと降る雨音を聴き、
五感を感じながら春や来い早く来いと・・・