自然を愛して

田舎暮らし

てんぷらの材料

2015-05-22 16:11:09 | Weblog
早春から初夏にかけて田舎は若葉から新緑、深緑と変化が楽しめる一番美しい季節です。
そして、てんぷらの材料は山、畑、土手、庭から摘んで楽しみ、新鮮なめずらしい山菜が堪能できます。
フキノトウから始まりタラの芽、うど、スギナ、ヨモギ、ユキノシタ、柿の芽、タケノコを賞味しました。

◆ふきのとう
フキはキク科の多年草で、地下茎になった横に伸びます。蕾を使いますが苦みが美味しい。

◆タラノキ
 
ウコギ科の落葉低木。3年前植えた樹が2m位になり、その後挿し木で増やした樹が1m前後になりました。
桜が咲き始めるころ新芽を採りてんぷらにしましたが天然ものは歯ごたえがあって良いです。
畑は夫が趣味でしているので私はあまり畑に行きませんが、今日写真撮りに行きウドとタラノキを
間違えていたことに気が付きました。
タラノキの若葉を採取して油で揚げましたら少し苦みがあり、食用するには新芽を使うことです。

◆ウド

最近、畑に植えている山ウドの若葉をてんぷらにしました。スープ、みそ汁の色取りにも使用します。
茎は緑ですが皮が固く厚いので剥かなくてはなりません。マヨネーズをつけて食べ、ワカメとあさりといっしょに
味噌和えも作ります。
東京のスーパーでは軟白栽培(地下で株に土を盛り暗闇にの中で栽培)が販売されて良く買って料理をしていました。
アクは余りありません。

◆スギナ
 
シダ植物門トクサ科
トクサ科では最も小柄で、地下茎を伸ばして良く繁茂し、生育には湿気の多いい土壌が適して畑にも生え難防除雑草。
我が家は田んぼを畑にしてから生え、雑草取りに追われていますが別名「地獄草」と言っている意味が分かりました。
てんぷらにするのは栄養茎をスギナと呼び、鮮やかな緑色で丈は10cm位のときに採り、揚げるとパッと広がり
サクサクしてとても美味しいです。
胞子茎をツクシ(土筆)と呼び佃煮にします。

◆ヨモギ
 
キク科の多年草。地下茎はやや横に這い集団を作って、茎は立ち上がり、やや木質化します。
葉は大きく裂け、裏面には白い毛が密生。
初めて庭で見たとき菊の花だと思いましたら裏をみて違いが分かりました。
葉があまり硬くならない4月頃が良く畑から採りました。
てんぷらの衣は裏面だけ付けて揚げます。特有の香りが大好きです。
新芽は茹でて草餅、草団子するため葉が柔らかい時期に茹でて冷凍にしております。

◆ユキノシタ
 
ユキノシタ科は双子葉植物に属します。花は両性花で放射相称または左右相称、花弁は4枚または5枚
雄蕊はその2倍あります。多年草の植物ですが、温帯から寒帯に分布し草全体が紅紫色の毛でおおわれ、
湿った場所に群生しています。いつも裏庭の山の下で山菜採りです。
初夏に白い花を咲かせ今丁度きれいに咲いている所です。
最近鑑賞用に花屋さんで見かけたこともあります。

 
てんぷら材料は傷ついていない柔らかい葉を選び、衣は裏面につけて低温の油であげましょう。
初めて食べたとき美味しさにびっくりして最近は良く作ります。

◆柿の新芽
 近所の人に教わりましたが、柿木の柔らかい新芽のとき採り2,3枚一緒に衣を全体につけて揚げます。
風味はあまりありませんが、きれいな色が食器に映えます。

◆タケノコ

孟宗竹が終わり、今は細長いハチク(淡竹)が採れはじめ早速てんぷらに揚げました。
ハチクは地下茎が浅くすぐ地面に出てきます。赤身を帯びた皮にはつるとして産毛はほとんどなく
エグミ、アクが強くないので水で茹でて冷めるまでそのままにし、完全に冷めてから水を取り替えて
一晩水にさらしておきます。
てんぷらには穂先を揚げると軟らかく、盛り付けのとき後ろに斜めに置くと纏まりが良いです。
ハチクは茹でて切って冷凍にすると冬になっても料理ができて便利です。

川端康成と東山魁夷展 

2015-05-05 16:19:06 | Weblog
 
ロビーで撮影          美術館案内板のポスター

「巨匠が愛した美の世界」と題して島根県立美術館で3月20日(金)~5月10日(日)まで開催
美術に造詣があった文学者川端康成が収集した国宝3点を含む珠玉の名品と同時に川端康成と
深い交流があった人気画家東山魁夷絵画、コレクションの古美術から現代までの幅広い作品が約200点展示
文豪と画家の美の世界を一度に鑑賞できた喜びと文学、芸術の奥深さに誘われて再度美術館へ出かけました。

人物紹介
●川端康成(1899~1972年)
大阪生まれ、2歳で父、3歳で母、7歳で祖母を大阪茂木中学校在学中の15歳で祖父とも死別
東京帝国大学文学部英文科に入学、のちに国文科に転科し卒業
「文藝時代」を創刊し、新感覚派の代表作家として活躍。
1948年 日本ペンクラブ会長に就任
1961年 文化勲章
1968年 日本初のノーベル文学賞を受賞
1972年 72歳自死
代表作
「伊豆の踊子」「雪国」「千羽鶴」「山の音」「眠れる美女」「古都」などが日本の美を表現。

●東山魁夷(1908年~1999年)
横浜市生まれ、3歳~18歳神戸で過ごす。
東京美術学校日本画科に入学、在学中に帝展に初入選
1933年~35年ドイツに留学。ベルリン大学で美術史を学ぶ。
1969年(昭和44年) 新宮殿の大壁画「朝明けの潮」の制作ならびに「京洛四季」展により毎日芸術大賞を受賞
1969年文化勲章受賞
代表作
「残照」(日展特選) 「道」「光昏」「北欧風景」
唐招提寺壁画「濤声」「山雲」「黄山暁雲」「揚州薫風」「桂林月宵」
鑑真和上像厨子絵「瑞光」
澄んだ色調の風景画は人気が高い。

出品展示品

第1章 文豪川端康成(所蔵公益財団法人川端康成記念館)
●『秋野の野に』川端康成「書」東山魁夷「画」
 ノーベル文学賞のとき東山魁夷がお祝い駆けつけたとき、川端康成は「秋乃野に鈴鳴羅し行く人見えず」と筆を執り
後日贈った書に東山はこの書を二曲屏風に仕立て裏に秋の野を描いて川端記念館に寄贈しました。
川端康成の書を初めて観ましたが魅力的な書に驚き、東山魁夷の銀粉を使った優しい画が印象的でした。
●文化勲章  「七宝」デザイン畑正吉
●ノーベル文学賞メダル「金」作者エリック・リンドベル 
 ノーベル文学賞状 羊皮紙製 作者ケルスティン・ティニ・ミウラ
 デザインは小説「千羽鶴」の東山魁夷装幀(ドイツ語版)をヒントにしたと思われるそうです
●挿絵原画 『伊豆の踊子』木村宗八 志野『千羽鶴』杉山寧 
●表紙画画帖『川端康成全集』安田靫彦 
●千羽鶴装幀原画『双鶴図』『四鶴飛翔図』小林古径 『舞姫』岡鹿之助 『山の音』山本丘人 
●『抒情歌』高井貞二 『ハワイ絵日記』平山郁夫
●川端康成原稿『日本文学の美』『ほろびぬ美』『美の存在と発見・続』
川端康成の愛用品 川端康成の自画像 。挿絵、装幀は有名画家ばかりでした。
特に安田靫彦の作品は今まで展覧会では歴史上人物などの大作ばかりを観ていましたので、
柔らかい色彩で描かれた表紙画画帖がめずらしく楽しみました。

第2章 川端康成と東山魁夷交流の軌跡
■(公益財団法人川端康成記念会)所蔵
●川端康成宛て東山魁夷書簡
●東山魁夷作 
「北山初雪」「マリアの壁」「風」
(習作)「静宵」「冬の花」 「月影」東山魁夷
「雪降る」川端康成作品選(装幀原画)
 東山魁夷 (スケッチ)「ストックホルムグランドホテルより」 「晩鐘フライブルク」「車窓」
黒田辰秋作黒田辰秋作(拭漆虔栗楕円盆) 
■東山家所蔵
東山魁夷宛て川端泰成書簡(東山家)
川端康成作 「山上林下人」「風景常氏新」(紙本墨書)
東山魁夷作「北山杉の秋」(習作) 
 京の春『古都』京の秋『古都』(挿絵原画) 樹根(小下図)
「山湖静」「フレデルク城を望む」(個人蔵)
第2章の中で一番良かったのは東山魁夷からノーベル文化賞のお祝いに贈呈された「北山初雪」です。
川端康成の作品「古都」の最終章の景色です。北の山杉がうっすらと雪に蔽われて、陽の当たる山の斜面は、
梢に丸く残された葉の繁みが粉をふりかけたように白くなって重なり並び、その間を真すぐな幹の列が
明暗の縞模様に描いて連なり、片側の陰になった暗い谷は伐採された斜面だけが白くなり、
立ち並ぶ杉の繁みを錆群青の深い色に沈めてその上に置く雪を青海のあるグレーに見せた風景だそうです。
風景画の静寂の中に美しさを感じました。

第三章 響きあう美川端康成コレクションと東山魁夷コレクション
■川端康成コレクション
 ●埴輪『乙女頭部』古墳時代(5-6世紀)素焼き
   ほのぼのとまどかに愛らしく、均整、優美の埴輪です。
   傍にあった縄文時代晩期の土偶「女子」ハアト型の顔も面白く横から後ろからでも鑑賞が出来ます。

 ●オーギュスト・ロダン 『女の手』ブロンズ
  女性の左手ですが親指だけは真直ぐ伸ばし、残りの四本の指は少し曲げています。  
   ロダンと言えば「考える」を思い出しますが、人体の小部分を切り離したものだけにどこから見ても象徴的です。

 ●『聖徳太子立像』鎌倉時代(13-14世紀)木造彩色玉眼
   聖徳太子の手を合わせている姿の幼像は少ないそうですが やわらかさ、やさしさ、幼さが可愛くて手を合わせたくなる像です。

 ●アフガニスタンハッダ仏頭(3-5世紀)朔像
  一見してもギリシャ風を残し、インドのガンダアラ風を加えていますが古代の東西文化交流のシンボルです。
  石造でなく朔像なのが珍しいそうです。

 ●【国宝】『十便十宜図』(じゅうべんじゅうぎ)池大雅 与謝蕪村 1771(明和8年)紙本墨画淡彩
   江戸時代中期の文人画家池大雅と与謝蕪村の合作として有名。十便図を大雅、十宜図は蕪村が描きました。
   内容は明末清初の文人で劇作家の李笠翁の詩にもとづき。十便詩は山中の営みの良さを
   十宜図は季節、時間天候の変化による楽しみを描いています。
 ●【国宝】浦上玉堂凍雲篩雪図 江戸時代後期(19世紀初期)紙本墨画淡彩
  浦上玉堂は岡山支藩の生まれで琴の名手。50歳で脱藩して漂流を重ねた。この作品は玉堂の最高傑作と言われています。
  凍ったような曇天から篩にかけたような細かい雪が舞う様子が描かれています。玉堂は筆運びや筆圧による墨の調子、
  また渇筆や擦筆を用いるのが特徴だそうです。この作品は大気の湿潤や微光の移ろいを描き出すため、
  墨色の濃淡や階調によっても遠近感や物の量感を表現し、点じられた代赭の粉末などじっくり鑑賞すると良さが
  少しずつ分かるよう気がします。

 ●小林一茶『うつくしや』江戸時代後期(19世紀初期)紙本墨書・書画 ●黒田辰秋『拭漆栃手箱』1968(昭和43年)木製漆塗
 ●古賀春江『公園のエピソード』1933年(昭和8年)紙・水彩 ●永井荷風『築地草』1915年(大正4年)紙本墨書・淡彩
 ●草間彌生『不知火」1955年(昭和28年)紙・パステル・グワッシュ・インク
 ●川端康成宛の文人たちの書簡
  菊池寛 谷崎潤一郎 横光利一 林芙美子 坂口安吾 岡本かの子 太宰治 三島由紀夫 瀬戸内寂聴
  川端康成と親しく交わった人々との関係を如実に物語った記録の集大成として価値のあるものです。
 ●伊藤初代宛て川端康成書簡(未投函)桜井靖郎所蔵
  伊藤初代と婚約するも一法的に破約されて、失恋の心は長く尾を引き、初期の様々な作品に生かされた人物への手紙です。
 ●川端康成と伊藤初代の婚約時に第一高等学校からの友人三明永無と3人で撮影した写真
  1921(大正10年)瑞泉寺所蔵(大田市温泉津町)三明永無は島根県の人で親しみを感じました。

■東山家コレクション
 ●エジプト プトレマイオス王朝時代(紀元前3世紀) 『石碑断片』石、 『彩色板絵』木、彩色
 ●ローマ 『梨型細瓶』(1-2世紀)ガラス ●ギリシャ 黒像式レキュトス(紀元前6世紀)陶器
 ●ペルシャ 『青釉碗』(13世紀)陶器 ●朝鮮『高句麗剣把頭』銅製鍍金 新羅時代(6世紀)
 ●中国『饕餮文銅器』殷時代(紀元前14-11世紀) 『加彩馬頭』漢時代(紀元前3-3世紀)
  正徳官窯 『青龍文中皿』陶器 明時代(14-17世紀)
  古代エジプト、古代ギリシャ、中国、朝鮮、石碑や壺、銅器など出土品と思われるものなどは
  あまり見る機会がないのでゆっくり鑑賞しました。上京した時には東京国立博物館に行きたくなりました。
  石濤『清湘老人山水画冊』1691(庚熙30年)紙本墨画・淡彩

 ●伝俵屋宗達『伊勢物語図色紙」江戸時代前期(17世紀)紙本彩色
 ●紺紙本金泥法華経(伝中尊寺経)平安時代後期(11-12世紀)紺紙本金泥書
 ●陶器 伝尾形乾山『梅の絵茶碗』江戸時代中期 北大路魯山人『菓子鉢』 岡部嶺男『鼠志野茶碗』
  楠部彌弌『彩埏 山帰来香炉』茶入名『村時雨』(蓋裏 和歌松平不昧筆)
  お茶を楽しむ東山魁夷は茶道具が多く深みのあるお茶碗を多く拝見できました。
 
 ●エミール・ガレー『色硝子果実文調水差・水盃』 ガラス
  アール・ヌーボーの代表的作家エミール・ガレー作品を久しぶりに観て美術館でガラス工芸を鑑賞したくなりました。

第4章 東山魁夷の風景画
 ●習作 『川の畔り』『山峡飛雪』『木枯らし舞う』『樹氷』
 ●『月出づ』所蔵山種美術館
  長野志賀高原での取材であって白樺の山の斜面が前面を対角線で截(きり)その中央のところで、
  後方の樅の山の稜線が弧を描いて交叉する。樅の山から丸い大きな月が出る風景である。樅の山の濃郡緑青、
  白樺の山の芽吹きの若葉との対照、日本的なにおいが漲(みなぎ)る作品(米寿記念 東山魁夷展図録より抜粋)

 ●『潮音』所蔵東郷青記念 損保ジャパン日本興亜美術館
  風景を静止したように切りとる東山スタイルには珍しく、自然の一部分を動的にとらえています。
  不動の岩礁と絶えず変化する潮の対比を、色彩や波を作り出す表情を丹念に描き分けることで表現しています。
  写生は島根県益田市戸田小浜で描かれ、作品になったそうです。
  列車から良く眺める日本海は岩にぶつかる荒波の力と泡の美しさはいつ見ても飽きません。身近に感ずる作品です。

  ●『狭霧晴れ行く』島根県立美術館寄託

 『米寿記念東山魁夷展』を日本橋高島屋で鑑賞していましたので、今回の展覧会で、青の世界、紅葉の世界、雪の白い世界
  月の陰翳世界、雲烟世界をゆっくり鑑賞でき、東山魁夷の作品にあえて今回の企画に大満足です。


「巨匠の眼」川端康成と東山魁夷(ミュージアムショップで販売)
美を愛して止まらない川端の美術コレクションや国民画家東山魁夷の作品、川端と東山の往復書簡、
東山の美術コレクション、「川端文学フォト・エッセイ川端康成という森」(作者水原園博)など川端の文学にまつわる
貴重なエピソードなど充実度の高い本です。
どこからでも読んでも楽しめる本ですが、最初に読んだページはノーベル賞文学賞受賞のときの記念講演「美しい日本の私」
その序説です。不朽の名文をと言われていますが改めて日本の美しさを再認識しました。
 
 (DVDの上映(美術館ロビー)
新発見された貴重なカラー映像と川端康成のコレクションを紹介しています。
ノーベル文学賞受賞会見のお祝いに駆け付けた若き日の三島由紀夫、石原慎太郎などが映っていました。


                   宍道湖の風景