自然を愛して

田舎暮らし

ねむの木

2016-06-30 15:21:56 | Weblog
 
                             休耕地のねむの木
  
                        自宅のねむの木                                夜に閉じた葉
 
自宅の物置の隅にねむの木が伸びましたので5月に横に広がった枝を切り落としました。
山側に6年前、自然と芽が出てきましたが、狭い場所ですので大きくならず今まで花を見たこともなく
花は咲くとは思っていませんでした。6月の中旬に庭のお掃除をしているとき、何気なく空を見上げましたら
薄紅色のやさしい花が咲いていましたのでびっくりしました。
最近、散歩に出かけたとき休耕地にねむの木を見つけていましたので、或いはその樹も花を咲かせているのではないかと思って
澄みきった青空の日に写真を撮りに行きました。休耕地は草刈がしてあり木も剪定されていました。
枝先には十数個の頭状花序がつき薄紅色の花がそよ風にゆらゆら揺れていました。花弁はなかほどまで合着し長さ8㎜の漏斗状
雄しべは多数あり、長さは3~4㎝花の外に長く付でて繊細で美しい花でした。
葉は20㎝から30㎝と大きく、2回羽状複葉で夏は羽状複状を広げ、夕方になると閉じました。
小葉の形は幅の広い披針形で、縁には短い毛が生えていました。


学名:Albizia julibrissin  マメ科:ネムノキ属: 分布:本州から沖縄 海外では朝鮮半島、中国、ヒマラヤ、インド、イラン
樹木:落葉樹5m~10m
ねむの木の名前を知ったのは「ねむの木の子守歌」でした。


『ねむの木の子守歌』 作詞:美智子皇后陛下:作曲山本正美.
ねんねの ねむの木 眠りの木 そっとゆすったその枝に 遠い昔の 夜(よ)の調べ ねんねの ねむの木子守歌
薄紅(うすくれない)の 花の咲く ねむの木蔭で ふと聞いた小さなささやき ねむの声・・・・・・
静かにハミングしながら書いています。


ポーラ美術館コレクション  モネからピカソ、シャガールへ展

2016-06-17 22:58:16 | Weblog
        
モネからピカソ、シャガールへ展が4月15日(金)-6月20日(日)まで島根県立美術館で開催されています。 
2002年に自然豊かな箱根仙石原に開館したポーラ美術館は国内屈指の充実した西洋絵画コレクションを誇る美術館です。
印象派のモネ、ルノワールをはじめ、ポスト印象派のセザンヌ、ゴッホ、そして20世紀絵画を代表するピカソ、シャガールまで
選りすぐりの作品71点が展示されています。箱根のポーラ美術館は訪れたことがあり親しみを感じ、県立美術館には
1回目は知人と2回目は図録を読んで気にいった作品をじっくりと鑑賞してきました。

展示作品

1.印象派の誕生:モネとルノワール
クロード・モネ(1840年―1926年)
《ジヴェルニーの積みわら》1884年 油彩/カンヴァス 66,1×81,3㎝
モネの「積みわら」の連作は人気がありますが、この作品はその前に積みわら風景を8点描いているうちの一つです。
日常の風景を観たままに描かれて積みわらは山型です。明るい色彩や強いコントラストによる光が印象的です。

《睡蓮》1907年 油彩/カンヴァス93,3×89,2㎝
印象派のモネは、パリの生活の後、郊外の村ジヴェルニーに居を構え、壮麗な庭園を造りあげていきました。
造成した池に浮かぶ睡蓮を描いた作品は200点を超え、彼の後半生の最も重要なモチーフになりました。
この作品は睡蓮が浮かぶ池の片隅をクローズアップで捉えています。
場所がどこであるかという指標が示されていませんが、断片的な場面をもたらした光の効果です。
水面に反映した画面の外側の世界、空や雲、そして周囲の木々のざわめきの陰景が良く分かります。
昨秋、東京でマルモッタン・モネ美術館のモネコレクッションを鑑賞しましたので、また違った睡蓮を見ることができて幸せです。

ピエール・オーギュスト・ルノワール(1841年―1919年) 
《水の中の裸婦》1888年 油彩/カンヴァス81,3×65,4㎝
モネと並ぶ印象派の画家ルノワールのモチーフは人物でした。中でも女性を明るい色彩と柔らかいタッチで数多く描きました。
この作品は裸婦の背景を水面が覆い尽くすといった大胆な画面構成がとられています。
陰景とハイライトにより量感が作り出された女性の身体とは対照的に、水面には光のきらめきや反映を表す黄や
赤、白の筆触が並置されています。恥じらいのポーズの裸婦に魅力を感じましす。

アルフレッド・シスレー1839年―1899年)
《ロワン河畔、朝》1891年 油彩/カンヴァス
晩年の10年間を過ごしたフランス・モレ= シュル=ロワンの風景です。
初期には暗い色彩を使う風景画が多かったそうですが、この頃には明るい色彩を用いて青い空、朝のすがすがしい光に
照らされて輝くロワン河畔の水面と湖畔に建つ家々を柔らかな色調で描いています。

2.印象派を超えて:セザンヌとゴッホ、ゴーガン
ポール・セザンヌ(1839年―1906年)
《プロヴァンスの風景》1879-1882年 油彩/カンヴァス54,7×65,5㎝
セザンヌの故郷は自然が豊かな南仏プロヴァンスです。陽光に満ちた青い空、山の斜面に建つ家、緑の木々などが
鮮やかな色彩で描かれています。画面中央の家には、プロヴァンスで「マス」と呼ばれるモルタル塗りの壁と
赤く平たな瓦葺き屋根はこの地域に見られる農家です。家の周りには、強風を防ぐための木々が植えられていて
木々全体を統一的な構築を長方形のタッチで積み重ねて描いています。
ポーラ美術館で買ったときの図録はこの作品が表紙でした。子供と出かけたので懐かしい想い出です。

フィセット・ファン・ゴッホ(1853年―1890年)
《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》1888年 油彩/カンヴァス46,8×51,3㎝
ローヌ河畔のアルルにはローマ時代以来の歴史を有するこの町を理想郷と見なしたゴッホは、陽光の降り注ぐこの地で
新たに発見した色彩の効果を探究して日々を過ごしました。この作品は画面大半を占める空と運河の青に対して橋と
土手には部分的に黄色が使われています。土手に生い茂る草に始まり、橋上の低木林の緑の中にはアクセントして
赤で描いてあり、鮮やかな色彩が浮かび上がっています。
今まで鑑賞したゴッホの作品のうちで好きな作品になりました。

ポール・ゴーガン(1848年-1903年)
《小屋の前の犬、タヒチ》1892年 油彩/カンヴァス41,2×67,1㎝
文明社会に背を向けて、南洋の原始的で野性的な環境で絵画を制作したゴーガンは現地の風景や風俗、
そして宗教を主題とした作品を数多く残しました。この作品は植物だけを材料として組み立てられた
タヒチの伝統的な小屋を中心に馬や犬、そして現地に暮らす人々といった牧歌的な生活の様子が描かれています。
細やかな筆触の連なりによって生み出されるれた赤、緑、そして黄色といった色面が画面を構成しており
平面的なゴーガン特有の作風が生み出されいます。


3.象徴主義と新印象派:ルドン、シニャック、クロス
ポール・シニャック(1863年-1935年)
《オーセールの橋》1902年 油彩/カンヴァス73,2×92,2㎝
点描技法の創始者であるスーラが急逝した後、新印象派の牽引役なった彼は、はじめは細かな点描技法を用いていましたが
この作品は比較的大きな筆触を連ね、モザイク壁画を思わせる装飾性のあふれる技法を取り入れています。
フランスのブルゴーニュ地方の港町オーセールで制作。
町の中心を流れるヨンヌ川の左岸に当たる橋の向こう側にそびえるのは、荘厳なゴシック様式の塔を持つサン=テティエンヌ大聖堂と
尖塔型の鐘楼を持つサン=ジェルマン修道院です。人々が行き会う前景の護岸に用いられた青や紫など寒色の筆触が輝く水面や
陽の光を受ける後景の建築群の明るい色彩を際立たせています。


4.20世紀の前衛芸術:ヴラマンク、マティス、マルケ
アルベール・マルケ(1875年―1947年)
《パリ、カルーゼル広場》1910年 油彩/カンヴァス65,1×81,1㎝
画面の中景奥、および延長上にカーゼール門とエトワール広場の凱旋門が見えることからこの作品はルーヴル宮殿から
テュイルリー公園に向かって描いているそうです。立ち並ぶ木々が緑の階調を作り出しつつ、地面にくっきりとした影を
作り出しており、午後の強い光を浴びた庭園の様子を描き、色彩を巧みに駆使する画家の特徴だそうですが
構図が珍しいと思いました。

ピエール・ポナール(1867年―1947年)
《ミモザのある階段》1946年頃 油彩 カンヴァス80,8×68,8㎝
ポナールが晩年に暮らした地中海岸の町ル・カネ自邸の庭が描かれています。
中央の階段は、邸宅のある敷地から上方に咲くミモザが咲き誇り、ミモザのほうにゆるやかな弧を描きながら数々の植物に
取り囲まれています。濃い黄で描かれた花、緑の葉が鮮やかな高い樹木や、階段のの脇に丸い茂みを形成する灌木もあれば
紺碧の空を背景に枝を垂れた植物も見られます。
さらに複数の種類の花が何色も合わせた色面が、隙間なく庭の斜面を覆い尽くしています。起伏にとんだこの色彩の庭は
地中海の光の下に萌え出る自然の生命力を豊かに表現している作品です。

5.色彩と造形への挑戦:ピカソ、ブラック、シャガール
パプロ・ピカソ(1881年―1973年)
《花束を持つピエロに扮するパウロ》1929年 油彩/カンヴァス130,4×97,3㎝
この肖像画はピカソの息子パウロです。8歳になっていた息子は大人びた表情を見せ、堂々とした姿で描かれています。
色とりどりの花束や、同じ色の花飾りのついた杖と帽子を身に着け、可愛らしい幼年時代の面影も残しています。
前期の作品ですが巧みの筆致を用いて描かれ、親しみ深い作品です。

マルク・シャガール(1887年―1985年)
《オペラ座の人々》1968-1971年 油彩/カンヴァス129,8×97,0㎝
シャガールの80歳代前半の作品です。その頃は世界的な巨匠としての栄誉を浴していました。
パリのオペラ座を背景にした抱き合う男女、弦楽器を持つ音楽家、幸福のシンボルを宿り木を男女に捧げる鳥
自分の頭部投げる軽業師が空中の輪舞を華麗に繰り広げています。画面下で微笑む男はシャガールだと言われています。
彼はカラー・リトグラフや水彩画の制作により追求した瑞々しい色彩表現をフラスコ画のような重厚感のある大画面に
実現する卓越した技を披露しています。
シャガールのリトルグラフは見かけることがありますので誰でも親しみやすいと思います。

    《町の上ので、ヴィテブスク》1915年 油彩/カンヴァス129,8×97,0㎝
知人はこの作品が好きと言いましたので、2回目にじっくりと鑑賞すると確かに良さが理解できました。
この作品はシャガールの故郷の上を抱き合う一組の恋人たちが浮遊している幻想的な場面を描いています。
分割された色面から恋人たちと輪郭線で囲まれたヴィテブスクの家並み、異なった木の柵などには
キュビスムの影響を感じさせる幾何学的な表現がみられます。
画面には結婚直後のシャガールとベラの喜びと幸福感や穏やかで優しい情感に満ちています。

魅力ある作品は多数あってまだまだ選びたい気持ちです。 開催日の残りは後3日です。

        写真はロービーの垂れ幕から撮影
  
ムール貝採り(ピエール・オーギュスト・ルノワール)の一部です。右側には子供を見つめる母親が描かれています。
セーヌ河の日没、冬(クロード・モネ )光と影の対比が印象的で冬の日没ですので色彩は濃く中央の一部です。    


再興第100回日本美術院展覧会

2016-06-05 16:32:40 | Weblog
島根(西)展が5月13日(金)~5月29日(日)まで今井美術館で開催されました。
同人作品、受賞作品、入選作品68点が展示されました。島根県に住んでから91回~100回まで毎年鑑賞していましたので
同人の画家の名前、特徴も少々分かるようになり、記念すべき展覧会はどんな作品が鑑賞できるか楽しみに出かけました。

[好きな作品]
玄皎想(げんこうそう) (松尾 敏雄) 【日本美術院理事長】
水墨画基調とした作品。大観が「玄皎会」を開いたことに由来して「大観の意志である日本画の王道を歩こうと
新しい旅立ちを決意して描かれたそうです。「玄皎とは(黒と白)の手法」です。
画面いっぱいに描かれた白い牡丹は品格があって葉は墨の濃淡によって花が引き立っていました。

行間のよみ (宮廻(みやさこ) 正明)
イタリア・フィレンツェの街を流れる川にボートが水面を切って進む場面を藍色を基調に描いた作品。
水面に広がる波紋、行間に幻想的な光景が宗教的なものを感じました。行間には般若心経を描き込まれたそうですが、
近くで観ますと文字が薄らと見えました。般若心経の内容をよく知っていましたら奥深く読み取ることができたと思いますので
お経を聞く事があるときはじっくりお話を聴きましょう。
題名が「行間のよみ」行間の幅が違い発想が凄いと思いました。

森の住民(すみびと) (西田 俊英(しゅんえい)
巨樹が生い茂る屋久島(鹿児島県)の森をモチーフに、墨を中心に描かれた作品。
暗い洞窟の中から、太古の森を垣間見ている場面を表現したそうですが、住民は何かしらと思いましたら、
煌めく青空に子ザルでしょうか小枝に飛び移っている様子を観つけ自然の中の楽しみを感じました。

菊花 (那波多目(なばため) 功一)
全面に輝く金地着色(金箔押し地)の余白を十分に生かし、優美な糸菊が描かれている作品。
繊細で優雅な画風で四季の花をモーチフにしておられる作者は好きな画家です。今回は背景の金箔の輝きに目を見張りました。
華麗な糸菊が舞い、緑の葉はシンプルな構図ですが下に小菊が描かれたことにより、みずみずしさと凛とした清々しさを感じました。
院展91回の表紙に「きく図」が描かれていますがその花びらも素晴らしいです。

文部科学大臣賞  鉄線 (斉藤 満栄(みつえい)
初夏に白い花や紫の花が次々と咲き誇る鉄線はすっきりした花で庭を彩ります。
画の花は白色でしたが中心に紫の雄しべが描かれて花に力強さもあります。
画面全体にいっぱいの花が咲き、たくさんの葉っぱが爽やかで上品でした。

夕桜 (梅原 幸雄)
奈良県仏隆寺の望月桜(千年桜)作品
夕方の桜はうっとりする美しさとあやしさがあったそうですが、巨樹の側に一人の振袖を着た女性が描かれていました。
大和撫子の人物に魅力を感じました。
98回に展示された「旅の夕」作品はエキゾチックが漂う神秘的なインド女性が描かれていましたので対照的でした。

渦潮 (田淵 俊夫)
徳島県の鳴門のうず潮は、太平洋から入り込む海水と瀬戸内海からながれ出る海水が大量にぶつかって発生します。
春秋の限られた季節と時間に渦が大きくなると言います。その神秘性を海の芸術と捉えられて描かれた作品。
遠方の島々の瀬戸内海を描き、前方に渦潮を横いっぱいに描かれて柔らかい色彩によって神秘を感じます。
夫はもう一つのうず潮(松村 公嗣(こうじ))をじっと観ていましたがうず潮だけを大胆に明るく描いた作品でした。

[目に留まった作品]

内閣総理大臣賞
皇紀の一生 (宮北 千織(ちおり)

春三月(いこい) (鎌倉 秀雄) 宙と共に(郷倉 和子) 不忍 (手塚 雄二) 
緑映大和(後藤 純男)  山茶花(王(わん) 培(ぺい) 歩み続ける(伊藤 髟耳(ほうじ) 
白道(井手(いで) 康人(やすと) 雪月花(高橋 天山) 渡る風(小田野 尚之)
滝(大野 百樹(ももき)) 風の庭(北田 克己)集う(菊川 三織子(みおこ)
一葉(いちよう)の躊躇い(ためら)(染谷 香理) 伶(わざおき)(國司(こくし) 華子)

[夫がじっくり鑑賞していた作品]

日本美術院賞(大観賞) あずける (武部 雅子)  永遠の彩り(藁谷(わらや) 実)

行間のよみ(宮廻(みやさこ) 正明) 海霧(清水 達三) 鎮魂クトナーホラにて(吉村 誠司) 
中3とタンポポの頃(村上裕二) 帰還(清水 由郎(よしろう) 宵い刻(とき)(福井 爽人(さわと)
松樹千年(今井 珠泉(しゅせん) 雲上朝暘(うんじょうちょうよう)(下田 義寛)  
朝陽(あさひ)の中で(福王寺 一彦) うず潮(松村 公嗣(こうじ) 浄土須弥(大矢 紀) 
三原山(川瀬 麿士(まろし)

今井産業本社ビルの日本庭園 

今井美術館に隣接する今井産業本社ビルの特別応接室では会期中期間限定のカフェがあります。
大きな窓ガラスからは、松やサツキ、巧みに配置された庭石などが一望できます。
鑑賞後夫婦でコーヒーを頂きましたがレアチーズケーキが美味しくケーキ皿にはケーキの周りにきれいに
小さな果物、絞りクリームが配色良く飾ってあって至福のひとときを過ごしました。
許可を得て撮影しましたが、青空と新緑のコントラスが綺麗でした。