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田舎暮らし

松江市の花「つばき」の世界 ~あおいニッセイ同和損保コレクション~椿絵名品展 

2019-03-31 13:44:09 | Weblog

松江市歴史館主催の企画展が2月8日(金)~3月24日(日)まで開催していました。
日本芸術界の巨匠がツバキを題材に手掛けた絵画や陶器、漆器など53点を展示。
卓越した技で椿を表現した作品が多数鑑賞できて魅了しました。
一つの花をテーマにした作品を一堂に観るのも初めてでしたので色々の椿の描き方がとても新鮮でした。

好きな作品
雪旦」(せつたん)ユキノシタ
横山大観(1868年~1958年)茨城県水戸市生まれ
白い椿に雪が舞い、枝にスズメが止まる情景を描いて墨の濃淡で雪の柔らかさを醸し出した技法に惹かれました。
大観の作品は安来市の足立美術館で毎年鑑賞していますが、違った作品に出合うのも楽しいです。

「椿花小禽図」
河合玉堂(1873~1957年)愛知県生まれ
東京都青梅市御岳渓谷に「玉堂美術館」があります。山村の風景を日本的な情感を込めて描き続け、香淳皇后の先生でした。
展示作品の赤い藪椿の咲く枝につがいのウグイスがさえずりながら遊び、構図の中心を画面の上部に持って行ったところが奇抜です。
花や幹には四条琳派の付立(つけたて)法に琳派の垂らし込みが使われてさらりと描いてありました。

「椿(浅香)せんしゅん」
橋本明治(1904年~1991年) 浜田市生まれ
東京美術学校日本画科を卒業。やまと絵の技法を基礎に明快な色面や線描よる堅固な造形を追究されています。
島根県立美術館のコレクション室で観る作品は人物画が多く、椿の作品を初めて観て、
1本の線も使わず単純化した形や色による紅椿を装飾的なあしらいに息づきを感じます。
背景の余白は大きく残してありましたが、じっくり観ていると春の初めの空気を想像できます。

「椿」
小林古径(1883~1957年)新潟県生まれ
東洋古典の絵画の持つ美しさを像検面から追究し安田靫彦(ゆきひこ)や
前田青邨(せいそん)らと大正から昭和にかけて日本美術院で活躍しました。
作品は背景など余分な要素を省きガラス器にさした白椿のみを迫り枝は横に這っていました。
ガラス器は模様がツバキにとても映え、全体がソフトな色彩がめずらしいと思いました。

「支那壺に椿」
児島善三郎(1893~1962年)福岡生まれ
大正末に渡欧してドランやマティスに傾倒しました。日本的なフォービズム(野獣派)の代表的な画家として活躍しました。
作品は明快な色彩配置は装飾ですが物の重たさを感じさせる表現は琳派的なフォービズムとでも言えるそうです。
理知的なのにどこか温か味がるそうですが、テーブルの敷物が目につきました。

「椿花図」
村上華岳(1888~1939年)大阪市生まれ
京都市立絵画専門大学(京都市立芸術大学)卒業。
大正期に土田麦僊(ばくせん)、榊原紫峰、小野竹喬(ちっきょう)らと国画創作協会を結成し
洋画表現を融合した日本画を次々と発表。その後喘息の悪化から次第に画壇から離れ、
後半生は神戸になどに隠棲し、仏画や山水画、花鳥画を書き続けられたそうです。
憑かれたようにうごめき交錯する筆跡は生き物の脈動があり、椿の花も暗い色に沈みながらもその陰のなかに情念を脈打ち
画面全体から感じました。

「椿図」
木村荘八(1893~1958年)東京日本橋生まれ
最初は文学を志しましたが、岸田劉生を知り、大正時期にはデューラーの写実表現に傾倒。
挿絵作家として優れた仕事を残しました。
装飾的な画面の中で写生味を出すために、線の呼応や筆勢で椿の生き生きとした輝きを表しています。
この作品は椿の動きが線の呼応や筆勢を楽しく鑑賞しました。

※アルブレヒト・デューラーについて
ドイツのルネサンス期の画家、版画家、数学者。(1471~1528年)
代表作品:メランコリア。アダムとイヴ、自画像

「寒椿」
山口華楊(1899~1984年)京都市生まれ
写真中心の画風で動物画が得意。花鳥画も人気があります。
水分を含んだ春の雪にこらえて咲く紅椿の枝。そこから飛び去るメジロを見ると
春を待ちかねる花や鳥に生命の輝きを感じ、ソフトの色彩が好きです。

「椿図蒔絵硯箱」
尾形光琳(1658~1716年)京都生まれ
元禄文化を代表する絵師です。生家は高級呉服屋で、陶芸家の尾形寒山は弟です。
金蒔絵の土坡(どは)の向こうに螺鈿による白椿が二輪誇らしげに咲き、
添えられた葉の内三枚が黒ずんだ鉛によって自然な感触を思わせているそうです。
葉っぱが何で造られているか分かりませんでしたが鉛で出来ていることが分かり知識がつきました。

「色絵椿文鉢」
北大路魯山人(きたおおじろさんじん)(1883~1959年)誕生京都市
書道家、篆刻家、》として活躍しましたが、美食家として知られ後に料理を演出する食器を求めて
作陶家となりました。作品は、鉢の内側も外側も大ぶりの椿に満たされています。
花弁の大胆さと器の優美な曲線はおおらかな桃山時代の気風が漂っているそうです。

その他
竹久夢二
大正ロマンを代表する美人画家です。愁いを帯びた表情と優美な曲線を描く姿態と独特の色づかいが特徴です。
展示作品は着物に椿が描いてありました。着物の線は思ったより太かったです。

熊谷守一
「画壇の仙人」と呼ばれている作者の作品は今まで一度も観ていませんが
表現主義的な画風に単純化した形に魅力を感じました。