カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

御二九と八さい はちべー

2011年05月21日 | 京都
「ネオ・新京極。」

新京極といえば、言わずと知れた京都一の繁華街、しかし、少し外れて、灯りの少ない路地に、一歩足を踏み入れれば、少々薄汚い、しかし、居ればその内、どっかと腰を落ち着かせてしまう、そんな雰囲気のゲーム・センターがあったり、通りすがりには必ず苦笑を催す、そんなタイトルの付いた、性的な映画を専門に上映する映画館があったりと、地元民、観光客、いずれも、その年代は問わず、何処かに、ほっこりした居場所を見つけることの出来る、雑多な雰囲気を持つ街並み、そして人の流れではありました、かつては。

京都市内の他の場所と比較して、人が多い、駐車事情が悪いなどという諸事情もあり、あまり長居することもなくなっていたその地域で、久々に小さな路地を、当てもなく、ふらふらと歩いてみると、ある種の懐かしさを思い起こさせる、そういった陰のある部分は、おおよそ一掃され、小ぎれいな石畳に路面はひき直され、しかし、昔ながらの京都風であることを、強く意図的に主張する、まるでアトラクションの国のような街並みが、以前の陰湿さなど、まるでなかったことであるかのように、いつの間にか、この見慣れぬ街角を潔癖に覆っています。

殊更その傾向の強い場処にある、同じくそんな風情のこの御店の、牛タン・ハンバーグ、それが、ランチのメイン・メニューで、当然の如く、所望していたのはその料理だったのですが、一際に感銘を受けたのは、実はもうひとつのメニュー、牛ネック・シチューでした。
牛タン・シチューであれば、よくあるメニューなのですが、牛ネックとは、珍しい。
しかも、諸々のサイド・メニューまで付いて、1,500円というのは、この類のシチューにしては、かなりお手頃な値段であるとも言えるでしょう。
コクのあるデミグラス系のシチューは、蕩ける肉片と共に、ご飯と一体化させ、カレーライスのように戴くと、何とも言えない満足感を得られること、請け合いです。

夜のメニューを拝見していると、どうやら様々な部位の牛肉を提供しているようなのですが、普通の焼肉屋さんで見かけるような、メインであるはずの部位は、全く見当たりません。
よくある内臓系のみならず、珍しい部位ばかりです。
ちなみにお昼のランチでは、付き出しも、部位は、肺であるとのことでした。
そして、食後の苺羊羹、これも、見栄えのする、ちょっと変わった趣向です。
他の御店とは、幾分か違う料理、それがこの御店のコンセプトなのでしょう。
さらには何と、提供しているワインは、モルドバ・ワインです。
こちらは、知っている人自体が、非常に少ないワインでしょう。

店員さんは、かなりお若く、職人風の方が数名、非常に丁寧な物腰で、京都観光に来られた方々に失礼がないよう、とても気を使っておられる風情で、逆に客であるこちらが気を使ってしまうような、そんな状況も、多少見受けられるような気はします。
御店の雰囲気、店員さんの物腰、此処でしか味わえないような、ちょっと特殊なお料理、滅多に来ることのない京都を楽しみたい、そんな方には、万全の御店かとは思われますが、少なくとも、地元の常連の方々が、この御店で寛いでおられる姿というのは、良くも悪くも、ちょっと想像できない、昨今の近辺の街並みと同様に、そのような風情の御店であるということは、少なからず、言えるのではないでしょうか。


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