カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

口ぶえ/折口 信夫

2011年05月21日 | 日記
何であれ、良い面と悪い面があって、自分に都合の悪いことは、その悪い面だけが全てであるかのように、
本心から思ってしまう傾向というのが、人間にはあるし、つまり、社会全体にもある。

同性愛者というと、それにまつわる全てが破廉恥で汚らわしいと早合点してしまう、
そういう傾向は、いつの時代も著しく顕著であり、そういう風潮に苦しめられた人物というのは、
いつの世にも、常に居たことであろう。

当然の如く、敬虔で慎ましやかな同性愛者も居れば、多くの評判通りに、節操なく破廉恥な奴も居る。
同じく、救い難く破廉恥な異性愛者も居れば、勿論、所謂、人並み程度、普通の人も居て、
実は世の中、そのカテゴリーだけが、社会的には正常であると認知されている。

だが、実際は、同性愛者であろうとも、真面目な付き合いをする、真面目な人物なのであれば、
社会的差別を受ける謂れなど、全く以ってない訳であり、本書、「口ぶえ」で描かれる人物像というのは、
まさにそういう性向である。

そしてこれは、おおよそ、作者、折口信夫、本人の自伝的小説であり、
此処には描かれてはいないのではあるが、彼は、実際、そういう類の社会的偏見を、
存在の根源的な苦しみとして心中に抱いており、他の何かを切欠にして、
若い頃から、何度か自殺を試みているようである。

真に穢れているのは、差別する側の心だと、実は差別的な人々が気付くのは、いつの事だろうか。


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