新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ハバナとマイアミ間は400キロ

2017年01月06日 | 日記

 キューバの首都ハバナからアメリカ合衆国フロリダ州にあるマイアミまでは400キロあまりしかない。フロリダの南端キーウェストまでならわずか200キロだ。200キロといえば東京から静岡までの距離に相当する。キューバ社会の息苦しさを逃れてアメリカの自由な新天地をめざし、舟を浮かべた人たちが何十万人に上ったのも無理はなかった。そしてマイアミに住んでいた白人たちをパームビーチ方面へと追い出し、スペイン語社会を打ち立てた。メキシコやジャマイカ、プエルトリコからの移民も含めて黒人、ブラウン系(混血)の人たちがマイアミの町全体を乗っとってしまった。
 作家ジェームズ・ミッチェナーは「カリビアン」のなかでTwinsと題する1章をもうけ、キューバで生まれ育った双子の姉妹を描きながら、1989年時点でのキューバとマイアミを対比している。姉妹はいずれもキューバ人と結婚したあと、両夫婦はハバナとマイアミに別れて暮らす。自由を求め、それなりの生活を達成したマイアミ夫婦とカストロ体制のもとでモノは不足しながらも無料の医療や教育を享受できることにある程度の満足を感じ、外国へ移住することを夢にも思わないハバナ夫婦の、考え方に想像を絶するほど深い溝ができてしまっていることを描き出す。
 
「カリビアン」を読み終えた。ペーパーバックで940ページの大作だった。カリブ海諸島には見えない連帯感があることはたしかだ。北はキューバ、とジャマイカ、東へハイチ、ドミニカがありプエルト・リコがある。アンティグア、グアダロウペ、マルチニクとつながる。名もない島々が連なりトリニダドで終わる。南は南アメリカのベネズエラ、西にはパナマやメキシコがあり、これらが連なりあって大西洋と太平洋を遮る広大な湖を形成する。16世紀にはthe Spanish Lake、のちにはthe English lakeと呼ばれたゆえんだ。スペイン、フランス、イギリス、オランダがいまも支配している島が多いようだ。アフリカから連れてこられた黒人が白人と交わってさまざまな皮膚の色をつくり出している。インドから連れてこられたヒンディー教徒が無視できない勢力を持っている島がある。今後の動向を注視したい。