新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

駅伝選手は広告塔か

2017年01月05日 | 日記

 3日の朝は箱根駅伝に見入ってしまった。青山学院大学の7区走者が途中で顔を引きつらせるようになった。脱水症状が出ているようで、苦しそうな走りをしながらも、ついに戸塚中継所まで走り抜いた。
 テレビ中継を見ていて気になることがある。中継放送のアナウンサーは走者の所属大学名はいうが学部はけっしていわない。それぞれの走者が大学でふだんなにを専攻しているのか、1年生の走者なら今後どのような方面に進もうとしているのかを知りたいのだが、そのような情報はいっさい流れない。彼らははたして勉強しているのだろうか。それとも大学生活のほぼすべての時間を走る練習に捧げているのだろうか。駅伝終了後にインタビューされた青学の原監督が「優秀な選手を送り込んでくれた全国の高校の先生方に感謝している」という趣旨の発言をしていた。やはりそうか。スポーツ推薦で入ってくる若者をひたすら育てているのだ。
 かつてシカゴ・トリビューン紙のコラムニスト、マイク・ロイコが、アメリカの大学バスケットボール選手の学力のなさを痛烈に告発したことがあった。バスケットに秀でているという理由だけで優先的に大学に入学させ、ひたすら練習させる。目標はただひとつ、バスケットで大学名を有名にし、大学のブランド化をねらう。しかし彼らの勉強面は中学校レベル以下だから、大学に入学できても4年後に卒業できる見込みは初めからゼロだ。大学は彼らを卒業させる努力をせず、4年後には放り出す。大学としては後からあとから若いバスケット選手を入学させるだけだ。
 日本の場合、状況はそれほどひどくないと信じたいが、企業がプロスポーツ選手を抱えて、仕事をさせるわけでなく、ただ広告塔として利用しているのを見るにつけ、私立大学も同じような方向へ向かおうとしているのではないかと危惧している。