京畿道華城にあるサムスン電子の半導体ラインから有毒物質のフッ酸溶液が漏れ、1人が死亡した。事故は密閉空間のクリーンルーム内で発生し、フッ酸ガスは外部の大気には流出していないという。
サムスン電子は28日、半導体を生産する京畿道華城工場の11ライン付近にある化学物質中央供給施設からフッ化水素酸(フッ酸)溶液が漏出し、作業中だった協力会社STIサービスの職員5人が病院に運ばれ、うちパクさん(35)が死亡した、と明らかにした。
前日午後1時30分ごろ、11ライン外部にある化学物質中央供給施設のフッ酸溶液供給装置で異常が発生すると、STIサービスは午後11時から、作業員5人を投入して配管交換作業を行った。配管作業は28日午前4時46分に終わった。
サムスンの関係者は「配管作業が終わってから3時間ほど経った午前7時30分ごろから、作業員5人がのどや胸の痛みを訴え、付近の病院に行った」とし「このうち1人の症状が深刻で、ソウル漢江誠心病院に移されたが、午後1時35分に死亡した」と明らかにした。残りの職員4人は治療を受けた後、退院した。
雇用労働部の調査によると、死亡したパクさんはクリーンルームの内外を行き来しながら指示をする作業班長で、事故当時は保護服を着用せず、漏出したフッ酸に露出した。残りの4人はクリーンルーム内で防毒マスクと保護服を着用したまま作業し、人命被害を免れたことが分かった。サムスン半導体華城工場11ラインは、DRAMやNAND型フラッシュメモリーなどメモリー半導体を生産する工場。
サムスン電子側は「フッ酸はクリーンルームの外部には流出せず、環境汚染問題もなく、工場も正常に稼働している」と明らかにした。サムスン電子の関係者は「フッ酸溶液の漏出量は2-3リットルだが、外部に流出すれば廃水処理場へ自動に流れるよう設計されているため、亀尾フッ酸漏れ事故のように大量のフッ酸ガスが外部に漏れることはなかった」と説明した。
この日の事故は、パクさんが死亡した後の午後2時40分ごろ、サムスン側が京畿道庁大気管理課に申告したことで、外部に知られた。
◇フッ酸=フッ化水素(HF)の水溶液で、腐食性が強く、皮膚・粘膜に深く浸透して損傷を起こす。人が吸い込めば咽喉痛・せき・呼吸困難・肺損傷などの症状が表れ、深刻な場合は命を失う。濃度50%以上のフッ酸に触れれば、やけどや皮膚損傷が直ちに表れる。雇用労働部が定めた作業場の安全基準は0.5ppmで、50-250ppmで5分以上露出すれば死亡することもある。