韓国ソウル高裁は24日、同国留学中の1975年に「北朝鮮スパイ」として韓国軍に摘発され、国家保安法違反罪などで死刑判決が確定し約13年間服役した在日韓国人2世の大学教員、康宗憲さん(61)=京都市=に対し、再審で無罪を言い渡した。韓国では70~80年代に同様の罪で服役した在日韓国人への再審で、少なくとも10人の無罪が確定しているが、死刑確定者の無罪判決は初めて。
軍出身の朴正煕、全斗煥両政権時代に軍や情報機関が国内の民主化要求を抑え込む目的でスパイ事件の捏造を繰り返していたとみられ、家族の間でも南北への支持を分かちながら暮らす在日コリアン社会出身者が標的にされた実態があらためて鮮明になった。
康さんはソウル大医学部在学中に連行され、日本で北朝鮮の工作員から指令を受け北朝鮮に密航したり、韓国内で知人13人を束ねた地下組織をつくったりしたとして起訴された。(