22日午後、ソウル市内の江南大路。道の両側に並ぶ建物の1階の店が、出入り口を開けたまま冷たいエアコンの風を放出していた、店の前を通る人たちがエアコンの風につられて、店の中に入っていく姿があちらこちらで目に付いた。
ある衣料品店に入ったイ・ヒョンジュンさん(25)は「暑い中歩いていたら涼しい風を感じたので、自然に『ちょっと入ってみよう』という気持ちになった」と話した。近隣の衣料品店で服を買ったキム・ジンヒさん(22)も「特に買うつもりはなかったのに、冷たい風に誘われて入り、服まで買ってしまった」と話した。
この日、地下鉄2号線の江南駅と9号線の新ノンヒョン駅の間を走る江南大路沿いのビルの1階では、49店のうち37店が、エアコンをつけた状態でドアを開けて営業していた。半数の店は開け放った出入り口に「エアカーテン(出入り口に空気の層を作り、店内の冷気と外部の熱気を遮断する装置)」を設置していないか、あるいは設置していても稼働させていなかった。江南駅付近にある化粧品店の従業員(44)は「エアコンをつけてドアを開けておけば電力消費量は大きいが、そうするよう指示を受けているため仕方ない」と話した。
ここだけではなく、地下鉄4号線の明洞駅一帯や2号線の新村駅一帯など、店舗が密集する他の地域でも、エアコンをつけたままドアを開けて営業している店が多く見られた。このような道路沿いの店の「エアコン客引き行為」に対して、過度な電力浪費だという指摘が出ている。
建国大学建築専門大学院のチョ・チャンヒョン教授は「施設や面積によって異なるが、ドアを開けたままエアコンをつけておくと、少なくとも10%、最大で50%以上、エネルギー使用量が増加する」と話した。出入り口を開けたまま営業している店は、売り場内部を涼しくするためにエアコンの温度設定を最大限に低く設定するため、電力消費量はさらに大きくなる。
このように、電気使用量が大きいエアコンを1日中つけたまま営業できる理由は、一般家庭用の電気料金にだけ累進制が適用され、店舗や工場などで使用する電気には累進制が適用されていないためだ。例えば、小規模アパート(90平方メートル、日本のマンションに相当)で使用するエアコン(消費電力3000ワット)2台を1日12時間ずつ稼働させると、一般家庭では1カ月の電気料金がおよそ120万ウォン(約8万5000円)に達するが、店舗の場合は22万ウォン(約1万5600円)で済む。
その上、現行法では「エアコン客引き行為」を規制するのは難しい。エネルギー利用規制関連法である「エネルギー利用合理化法」は、デパート、大型ビルなど全国478カ所の大型施設だけを対象としているためだ。
知識経済部のエネルギー節約協力課では「エネルギー規制に対して、大規模施設からも営業妨害だという陳情が出ている。小規模店舗まで規制するのは難しい状況だ」と話している。エネルギー管理公団側は「現時点では、キャンペーンなどを通じて自発的な協力を期待するしかない」とコメントした。
- 22日、ソウル・江南駅周辺の衣料品店などがエアコンをつけたままドアを開けて営業している。蒸し暑い中、店の前を通る人たちを涼しい売り場の中に呼び寄せる「エアコン客引き」が数年前から流行している。