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藤沢周平著 「風の果て」

2016年12月06日 09時41分17秒 | 読書記

正直なところ 近年 余り 本を読んでいませんでしたが 最近 本棚の 埃を被って眠っている古い本の類の整理処分を仕掛けたことがきっかけで 改めて 読んでみようかなと思える本が次々出てきてしまい 気まぐれながら 読書の時間が多くなっています。

本棚に眠っている古い本の中には 無かった本ですが 先日 「蝉しぐれ」と一緒に 市立図書館から借りてきた 「風の果て」(上)(下)を 読み切りました。
「風の果て」は やはり 藤沢周平氏の 代表的な長編時代小説のひとつで テレビドラマ化もされたようですが 本を読むのは 初めてです。

物語は 小藩の筆頭家老 桑山又左衛門のもとへ かって同じ道場に通い 研鑽し合い、交遊していた同期の仲間5人組みの一人 野瀬市之丞から 果し合いを申し込まれた場面から始まり 果し合いに向かうまでの長い年月を 回想する形で進んでいきます。

身分、家柄の異なる 5人の若者達、上村隼太、杉山鹿之助、野瀬一之丞、寺田一蔵、三矢庄六は しがらみの無い内は 仲の良い仲間の関係が保たれていましたが まもなく それぞれの岐路があり 全く 異なった人生を歩み出し始めます。
主人公 上村家の次男 上村隼太は 郡奉行桑山孫助の婿養子となり 家督を継ぎ 孫助亡き後 桑山又左衛門と名乗り 政変政争を経て 筆頭家老の地位にまで 昇りつめます。
杉山家の嫡男 杉山鹿之助は 仲間5人の中では ダントツに高い身分家柄にもかかわらず 道場の仲間時代は 他の4人と気さくに交遊していたものの 家督を継ぎ 杉山忠兵衛となり 筆頭家老の地位についた頃には やはり 上士の血が通い出し やがて 藩の権力の中枢に迫ってきた かっての道場仲間である 桑山又左衛門とも対立し 最終的には 政争破れ 失脚します。
野瀬一之丞は 野瀬家の冷や飯食い(部屋住み)(次男三男等 家督を継げない身分)。剣の腕は優れているものの 拗ねているところ有り、婿入りもせず。
筆頭家老になった かっての仲間 桑山又左衛門に 果たし合いを突きつけ 「貴様の執政づらが どうもめざわりでならんというだけのことよ」と 言わしめ 死んでいきます。
寺田一蔵も 部屋住みだが 仲間の中では 最も早く 宮坂家に婿入り 宮坂一蔵となります。
しかし 妻の身持ちの悪さが原因で 刃傷沙汰を起こして脱藩、討手の 野瀬一之丞に斬られます。
その死に様が悲惨で 後の 野瀬一之丞の心に深い傷を残すことになります。
三矢庄六も 部屋住みで 石高20石の普請方 藤井家に婿養子に入り 藤井庄六となります。
上村隼太と 太蔵が原の開墾工事にも参加しています。藩校では 秀才だと言われている息子がいます。
物語の最終章、野瀬一之丞との果し合いの後 桑山又左衛門が 先ず 立ち寄っのは 庄六の家。
「庄六 おれは 貴様がうらやましい」「執政などというもになるから 友達とも斬り合わねばならん」と 述懐すると 「普請組勤めは 命がけの仕事よ」「うらやましいだと?バカ言ってもらっては困る」と 突き放します。

「風が走るように」 
一目散に走り続けてきた 桑山又左衛門。
「何が残ったのか?」・・・・・。
現代でも通じる 問いかけのような気がします。

 

 


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2 コメント

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やれこら様、 (takezii)
2016-12-06 17:09:54
奥様、本当に 造詣の深いコメントをいただき 有難うございます。
刺激されて 気まぐれですが これから 少しずつ いろんな本を 読んでいきたいなと 思っているところです。
今後とも おすすめ本等 よろしくお願いします。
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風の果て (やれこら)
2016-12-06 14:39:25
読後に,深く重い宿題を課された様な気持ちになった覚えが有ります。
めでたしめでたしのハッピーエンドばかりでは無い,人としての生き方を問われるような,重いテーマの小説でした。登場人物一人一人を主人公にした物語ができるぐらい,個々の人物の描写が丁寧にされていて,流石だと思います。
「春秋の檻」 獄医 立花登手控えシリーズなどは,爽やかな青年が主人公の,楽しく微笑ましい物語だと思います。先の作品とは違った魅力があると思っています。
近頃は女性作家の時代小説を好んで読んでいて,この度の事をきっかけに,また藤沢氏の作品を思い出し,読み返してみたくなりました。ありがとうございます。
(やれこら連れ合いでした)
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